2級工業簿記 2.5.1 個別原価計算 個別原価計算について

本日は、個別原価計算について、執筆していきます。

 

個別原価計算とは

個別原価計算

個別の製品ごとに原価を計算すること。
一般的には受注生産による製品に採用される。

※受注生産

顧客より受注を受けてから商品を生産すること。

受注生産のイメージ

個別原価計算のイメージ

個別原価計算に関する仕訳

例題をもとに仕訳を見ていこう。

稲垣製作所では、個別原価計算を採用している。下記の内容をもとに仕訳を見ていこう。

1 期首の材料有高
 ・材料B 200個 ¥40/個
2 材料の払出法:先入先出法
3 仕掛品有高 :¥300,000
 (製造指図書#1)

 

取引内容(一部)

4/1 
下記の材料を購入し、代金は現金で支払った。
材料A 2,000kg ¥150/kg
材料B 1,000個 ¥ 50/個

(借方)材料 350,000

  (貸方)現金 350,000

材料A 
¥150×2,000kg=¥300,000

材料B 
¥50×1,000個=¥50,000  

計:¥350,000

 

4/3 
下記の材料を製造指図書#1のために消費した。
材料A 1,000kg

(借方)仕掛品 150,000

  (貸方)材料 150,000

材料の価格
¥150×1,000kg=¥150,000 

単価¥150
4/1材料購入単価を指す

 

4/7 
下記の材料を購入し、代金が小切手で支払った。
材料C 1,000㎏ ¥200/㎏

(借方)材料 200,000

  (貸方)当座預金 200,000

材料C
¥200×1,000kg=¥200,000

 

4/11 
下記の材料を製造指図書#2のために消費した。
材料C   500㎏

(借方)仕掛品 100,000

  (貸方)材料 100,000

材料の価格
¥200×500=¥100,000

単価¥200
4/3材料購入単価を指す

 

4/15 
製造指図書#2を塗装のため外注依頼し、費用¥100,000は電子記録債権を譲渡した。

(借方)外注加工費 100,000

  (貸方)電子記録債権 100,000

 

4/20 
4/15に外注依頼した製造指図書#2の塗装が完了したとの連絡を受けた。
製造原価へ賦課する。

(借方)仕掛品 100,000

  (貸方)外注加工費 100,000

 

4/25 
当月の賃金¥500,000を下記の控除額を差し引いて小切手にて支払った。
・所得税預り分:¥10,000
・健康保険料預り分:¥25,000

(借方)賃金 500,000

  (貸方)所得税預り金 10,000

      健康保険料預り金 
      25,000

      当座預金 465,000

 

4/30 
下記の情報をもとに適切な処理を行う。

A 製造指図書#1が完成した。 
製品の完成後、仕掛品勘定から製品勘定へ製造原価総額を振り替える。

(貸方)仕掛品 825,000

  (借方)製品 825,000

 

・材料(製造指図書#1)
¥150,000・・・①

・労務費(製造指図書#1)
予定賃率¥1,500×直接工作業時間150時間=¥225,000・・・②

・経費(製造指図書#1)
外注加工費¥100,000・・・③

・製造間接費予定配賦額
予定単価¥1,000×直接工作業時間(製造指図書#1)150時間=150,000
・・・④

①〜④合計 ¥525,000
前月仕掛品 ¥300,000
製造原価  ¥825,000

 

B 材料B(間接材料)の使用高は1,000個である。

(借方)製造間接費 48,000

  (貸方)材料  48,000

 

先入先出法にて処理するため、

前月在庫分
単価¥40×200個=¥8,000
・・・①

当月購入分
単価¥50×800個=¥40,000 
・・・②

①+②=¥48,000(1,000個分)

 

C 当月の作業時間は下記の通りであった。

・直接工 250時間
 内訳 製造指図書#1 150時間
    製造指図書#2 100時間
・間接工 40時間
・手待時間 10時間

なお、賃金は1時間あたり¥1,500を予定配賦している。

(借方)仕掛品  375,000

    製造間接費 75,000

  (貸方)賃金 450,000

・仕掛品勘定(直接工作業時間)
予定賃率¥1,500×250時間=
¥375,000

・製造間接費勘定(間接工・手待時間)
予定賃率¥1,500×(間接工40時間+手待時間10時間)=¥75,000

 

D 当月の経費は下記のとおりであった。
・減価償却費:¥ 70,000
(うち直接経費:¥50,000)

・水道光熱費:¥300,000
(うち直接経費:¥270,000)

(借方)仕掛品   320,000

    製造間接費 50,000

  (貸方)減価償却費  70,000

      水道光熱費 300,000

 

E 製造間接費の予定配賦を直接工の作業時間をもとに行う。
・年間製造間接費予算:
 ¥2,400,000
・年間直接工基準作業時間:
 3,000時間

(借方)仕掛品 200,000

  (貸方)製造間接費 200,000

1時間あたりの予定配賦額¥2,400,000÷3,000時間
=¥800/時間

予定配賦額
¥800×250時間=¥200,000

 

F 当月の賃金消費高は¥510,000である。予定賃金と実際賃金の差額を計算する。

(借方)賃率差異 60,000

  (貸方)賃金 60,000

予定賃金消費額¥450,000−実際賃金消費額¥510,000
=−¥60,000(不利差異)

 

G 製造間接費の予定配賦額と実際発生額の差額を処理する。

(借方)製造間接費 27,000

  (貸方)製造間接費配賦差異
      27,000

予定配賦額¥200,000−実際発生額¥227,000
=−¥27,000(不利差異)


以上、個別原価計算について取り上げました。

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