2級商業簿記 2.9.1 期中取引 外貨建取引 外貨建取引の説明・仕訳

みなさん、こんばんは。

本日は、外貨建取引の説明・仕訳を執筆していきます。

 

外貨建取引とは

外貨建取引・・・自国の通貨(日本の場合は円)以外を用いて代金のやり取りを行う取引をいう。

外国の企業と取引をする際は、相手国の通貨(ドルやユーロなど)を用いて取引を行う。
→為替によって円の支払額が変動する。

為替・・・外国の通貨を日本円に換算したときの数値をいう。

例として、
1$(ドル)→¥100を基準とした場合、
1$→¥90になった場合は、円高・ドル安である。

また、1$→¥110になった場合は、円安・ドル高である。
為替は、毎日変動するのが基本である。

為替の仕組み

外貨建取引の特徴

外貨建取引の大きな特徴として、下記が挙げられる。

商品等の受け渡しと代金受け渡しのタイミングが異なる場合、日本円での受け取り額・支払額が違ってくる。
ただし、後ほど取り上げる為替予約時は除く。

 

外貨建取引に関する仕訳(支払時)

例題をもとに仕訳を見ていこう。

例1 ○1年10月1日 水戸産業株式会社は、商品を$5,000で購入し、代金は月末に支払うこととなった。
なお、この時点での為替レートは1$あたり¥110である。

(借方)仕入 550,000

  (貸方)買掛金 550,000

現在の為替レート:1$あたり¥110

商品$5,000を日本円に直すと・・・
$5,000×¥110=¥550,000
→日本円に換算した商品の仕入額である。

この金額を利用して上記の仕訳を行う。

 

例2 ○1年10月31日 例1で計上した買掛金を当座預金にて支払った。
なお、この時点での為替レートは1$あたり¥105である。 

(借方)買掛金 550,000

  (貸方)当座預金 525,000

      為替差益  25,000

・買掛金の減少額→仕入れ時に計上した額と同様である。

・買掛金の支払額→$5,000×買掛金支払時の為替レート¥105=¥525,000

・為替レートの差額処理

商品の仕入れ時の為替レート→1$あたり¥110

買掛金支払い時の為替レート→1$あたり¥105

上記より、1$あたり¥5 円高であることがわかる。

買掛金支払時に、為替レートが下がる
→支払額が少なくなるため、差額は利益となる。

よって、差額は為替の変動による利益であるため、為替差益勘定(収益の勘定)を使用し、処理する。

・為替差益の算出
$5,000×(買掛金発生時の為替レート¥110-買掛金支払時の為替レート¥105)→¥25,000

 

例3 仮に買掛金支払時の為替レートが1$あたり¥115である場合、例1で発生した買掛金支払時の仕訳を答えよう。なお、支払いは当座預金にて行うこととする。

(借方)買掛金  550,000

    為替差損  25,000

  (貸方)当座預金 575,000

・買掛金の減少額→仕入れ時に計上した額と同様である。

・買掛金の支払額→$5,000×買掛金支払時の為替レート¥115=¥575,000

・為替レートの差額処理

商品の仕入れ時の為替レート→1$あたり¥110

買掛金支払い時の為替レート→1$あたり¥115

上記より、1$あたり¥5 円安であることがわかる。

買掛金支払時に、為替レートが上がる。
→支払額が多くなるため、差額は損失となる。

よって、差額は為替の変動による損失であるため、為替差損勘定(費用の勘定)を使用し、処理する。

・為替差損の算出
$5,000×(買掛金発生時の為替レート¥110-買掛金支払時の為替レート¥115)→-¥25,000

マイナス→損失ということになる。

※為替差益、為替差損はまとめて為替差損益にて処理することもある。

 

外貨建取引に関する仕訳(受取時)

例題をもとに仕訳を見ていこう。

例1 ○1年10月1日 水戸産業株式会社は、商品を$5,000で売り渡し、代金は月末に受け取ることとなった。
なお、この時点での為替レートは1$あたり¥110である。

(借方)売掛金 550,000

  (貸方)売上 550,000

・現在の為替レート:1$あたり¥110

商品$5,000を日本円に直すと・・・
$5,000×¥110=¥550,000
→日本円に換算した商品の売上げ額である。

この金額を利用して上記の仕訳を行う。

 

例2 ○1年10月31日 例1で計上した売掛金の代金を小切手にて受け取り、ただちに当座預金口座へ振り込んだ。
なお、この時点での為替レートは1$あたり¥115である。

(借方)当座預金 575,000

  (貸方)売掛金  550,000

      為替差益  25,000 

・売掛金の減少額→売上げ時に計上した額と同様である。

・売掛金の受取額→$5,000×売掛金受取時の為替レート¥115=¥575,000

・為替差益の算出
$5,000×(売掛金受取時の為替レート¥115-売掛金発生時の為替レート¥110)→¥25,000

 

例3 仮に買掛金支払時の為替レートが1$あたり¥105である場合の例1で発生した売掛金受取時の仕訳を答えよう。なお、受取は当座預金にて行うこととする。

(借方)当座預金 525,000

    為替差損  25,000

  (貸方)当座預金 550,000

・売掛金の減少額→売上げ時に計上した額と同様である。

・売掛金の受取額→$5,000×売掛金受取時の為替レート¥105=¥525,000

・為替レートの差額処理

商品売上時の為替レート→1$あたり¥110

売掛金受取時の為替レート→1$あたり¥105

上記より、1$あたり¥5 円高であることがわかる。

売掛金受取時に、為替レートが下がる
→売上額が少なくなるため、差額は損失となる。

よって、差額は為替の変動による損失であるため、為替差損勘定(費用の勘定)を使用し、処理する。

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