みなさん、こんばんは。
本日は、連結修正仕訳(連結会計2年目以降の開始仕訳)について、執筆していきます。
2年目以降の連結会計の特徴
これまでの修正仕訳の内容は、連結会計初年度の内容である。
しかし、2年目以降の連結会計では追加の仕訳が発生する。
連結会計初年度と2年目以降の特徴について取り上げていく
初年度・・・当期の連結修正仕訳のみを行う。
2年目以降・・・前期以前の連結修正仕訳を反映させる処理(開始仕訳)を行った後に当期の連結修正仕訳を行う。(連結会計初年度同様に行う)
連結財務諸表作成の流れ
連結財務諸表・・・ 親会社と子会社の個別財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)を 合算し作成される。
連結修正仕訳・・・連結財務諸表を作成するための処理であり、連結精算表上で行われる。
それらの内容は親会社と子会社の会計帳簿には反映されない。
→前年以前の連結修正仕訳は親会社と子会社の個別財務諸表に反映されていないため、前年度以前の連結修正仕訳の内容を、当期の連結財務諸表へ反映させる必要がある。
よって、当期の連結修正仕訳の前に開始仕訳を行い、反映させる。
開始仕訳は前年より前の連結修正仕訳を全て行う。
開始仕訳のやり方を図にて下記に示す
検定試験では、2年目の連結会計が出題されることが多い。
投資と資本の相殺仕訳の開始仕訳
例1 昨年度末(3月31日、決算日)に、P社はS社の株式を60%を¥1,400,000で取得し、支配を獲得した。 支配獲得時の貸借対照表は下記のとおりである。
よって、開始仕訳と当期の連結修正仕訳を答えよう。※計上したのれんは20年で償却する。
開始仕訳
(借方)資本金当期首残高 1,400,000
利益剰余金当期首残高 600,000
のれん 240,000
(貸方)子会社株式 1,400,000
非支配株主持分当期首残高 840,000
当期の連結修正仕訳
(借方)のれん償却 12,000
(借方)のれん 12,000
→開始仕訳で処理するが、期首の残高であることをわかるように処理する 。
よって、純資産の項目に示される勘定科目のあとに「当期首残高」を記載する。
資本金→資本金当期首残高
非支配株主持分→非支配株主持分当期首残高
利益剰余金→利益剰余金当期首残
当期の連結修正仕訳・・・
のれん1年分の償却を行う。
設問に20年で償却すると記載があるので、
のれん¥240,000÷20年=¥12,000
→のれんの償却額
未実現利益の開始仕訳
ダウンストリーム時
例:子会社Bの期首商品のうち¥60,000は親会社Aより仕入れたものである。よって、開始仕訳を示そう。
なお、条件は下記のとおりである。
・この商品の利益率は20%である。
・A社のB社株式保有率は発行済株式の80%である。
(借方)利益剰余金期首残高 10,000
(貸方)商品 10,000
期首商品の未実現利益→昨年度計上した未実現利益である
未実現利益→商品¥60,000-商品原価¥50,000=¥10,000
商品原価→商品¥60,000÷1.2=¥50,000
昨年度の仕訳
(借方)売上原価 10,000
(貸方)商品 10,000
売上原価→過去の利益を積み上げている利益剰余金の増減にて処理する。
よって費用分は利益剰余金の減少にて処理する。
アップストリーム時
例:親会社Aの期首商品のうち¥60,000は子会社Bより仕入れたものである。よって、開始仕訳を示そう。
なお、条件は下記のとおりである。
・商品の利益率は20%である。
・A社のB社株式保有率は発行済株式の80%である。
(借方)利益剰余金期首残高 10,000
非支配株主持分当期首残高 2,000
(貸方)商品 10,000
非支配株主持分に帰属する利益剰余金 2,000
期首商品の未実現利益→昨年度計上した未実現利益である
未実現利益→商品¥60,000-商品原価¥50,000=¥10,000
商品原価→商品¥60,000÷1.2=¥50,000
昨年度の仕訳
(借方)売上原価 10,000
非支配株主持分 2,000
(貸方)商品 10,000
非支配株主持分に帰属する当期純利益 2,000
売上原価→過去の利益を積み上げている利益剰余金の増減にて処理する。
よって費用分は利益剰余金の減少にて処理する。
非支配株主持分に帰属する当期純利益
→過去の非支配株主持分に帰属する利益剰余金の増減にて処理する。
よって、費用分は非支配株主持分に帰属する利益剰余金の減少にて処理する。
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