みなさん、こんばんは。
本日は、連結財務諸表の作成について執筆していきます。
連結財務諸表の作成手順
連結財務諸表は、主に下記の手順で作成する。
1 親会社と子会社の個別財務諸表が完成する。
2 連結修正仕訳を実施する。
3 連結財務諸表を作成する。
連結損益計算書・貸借対照表の金額については、原則下記のとおりである。
1 親会社と子会社の個別財務諸表の金額を合算する。
2 連結修正仕訳で算出した金額を増減させる。
連結財務諸表の作成
実際に連結財務諸表の作成に関する例題を見ていこう。
例:次の問いに、下記の資料等をもとに答えよう
問1 下記の文章より、前期の連結財務諸表作成にあたって行われるS社株式取得に係る会計処理を示そう。
A社は、平成〇5年3月31日に、B社株式の60%を¥1,600,000で取得し、支配を獲得した。
なお、S社の平成〇5年3月31日の資本状況は下記のとおりである。
資本金:¥1,000,000
利益剰余金:¥1,450,000
問2 連結損益計算書・貸借対照表を作成しよう。
資料
1 親会社A社と子会社B社の個別財務諸表
2 のれんは、10年間にわたって定額法にて償却する。
3 B社はA社より商品の一部を仕入れている。
A社の売上高のうち、¥4,500,000はB社に対するものであり、
売上利益率は30%である。
4 A社の下記項目の債権は、B社に対するものである。
なお、A社はB社に対して貸倒引当金は設定していない。
受取手形:¥508,000
売掛金:¥829,000
5 B社の期末商品棚卸高のうち、¥850,000はA社より仕入れたものである。
解答・解説
問1
(借方)資本金 1,000,000
利益剰余金 1,450,000
のれん 130,000
(貸方)B社株式 1,600,000
非支配株主持分 980,000
問2 連結財務諸表
資料より行う連結修正仕訳は下記のとおりである。(問1以外)
・のれんの消去
2 のれんは、10年間にわたって定額法にて償却する。
(借方)のれん償却 13,000
(貸方)のれん 13,000
・未実現利益の消去
3 B社はA社より商品の一部を仕入れている。
A社の売上高のうち、¥4,550,000はB社に対するものであり、
売上利益率は30%である。
(借方)売上高 1,365,000
(貸方)売上原価 1,365,000
親会社A社の売上高¥4,550,000→子会社B社に対するものである。
よって、グループ内部の取引のため、利益を消去する必要がある。
利益消去額
売上高¥4,550,000×売上利益率30%=利益消去額¥1,365,000
5 B社の期末商品棚卸高のうち、¥850,000はA社より仕入れたものである。
(借方)売上原価 255,000
(貸方)商品 255,000
未実現利益の消去に関する仕訳(ダウンストリーム 親から子へ)である。
→期末商品棚卸高¥850,000内の利益を消去する必要がある。
利益率は30%であるため、¥850,000×30%=¥255,000
・債務・債務の相殺仕訳
4 A社の下記項目の債権は、B社に対するものである。
なお、A社はB社に対して貸倒引当金は設定していない。
受取手形:¥508,000
売掛金:¥829,000
(借方)支払手形 508,000
買掛金 829,000
(貸方)受取手形 508,000
売掛金 829,000
親子会社間の債権・債務の相殺に関する項目である。
相殺する項目の組み合わせは下記のとおりである。
受取手形ー支払手形
売掛金ー買掛金
相殺に関する仕訳は上記解答のとおりである。
最後に、非支配株主へ帰属する当期純利益の振り替え
(借方)非支配株主に帰属する当期純利益 324,000
(貸方)非支配株主持分 324,000
子会社の当期純利益を増減させる要因はないため、個別財務諸表上のB社の当期純利益より算出する。
非支配株主持分に帰属する当期純利益
子会社B社の当期純利益¥810,000×非支配株主持分比率40%=¥324,000
ひっかけポイント
利益剰余金の算出
単純な合算ではなく、期首の合算した利益剰余金+親会社に帰属する当期純利益−投資と資本の相殺分にて算出する。
期首の合算利益剰余金(個別財務諸表にて)
A社+B社の期末利益剰余金−A社+B社の当期純利益
上記に当てはめると
期首の合算利益剰余金
(¥3,950,000+¥2,260,000)−(¥2,570,000+¥810,000)=¥2,830,000
連結財務諸表上の利益剰余金
¥2,830,000+¥2,788,000−¥1,450,000=¥4,168,000
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