2級商業簿記 4.1.7  決算 連結財務諸表の作成

みなさん、こんばんは。

本日は、連結財務諸表の作成について執筆していきます。

 

連結財務諸表の作成手順

連結財務諸表は、主に下記の手順で作成する。

1 親会社と子会社の個別財務諸表が完成する。
2 連結修正仕訳を実施する。
3 連結財務諸表を作成する。 

連結損益計算書・貸借対照表の金額については、原則下記のとおりである。

1 親会社と子会社の個別財務諸表の金額を合算する。
2 連結修正仕訳で算出した金額を増減させる。

連結財務諸表の作成

実際に連結財務諸表の作成に関する例題を見ていこう。

例:次の問いに、下記の資料等をもとに答えよう

問1 下記の文章より、前期の連結財務諸表作成にあたって行われるS社株式取得に係る会計処理を示そう。

A社は、平成〇5年3月31日に、B社株式の60%を¥1,600,000で取得し、支配を獲得した。
なお、S社の平成〇5年3月31日の資本状況は下記のとおりである。

資本金:¥1,000,000
利益剰余金:¥1,450,000 

問2 連結損益計算書・貸借対照表を作成しよう。

資料

1 親会社A社と子会社B社の個別財務諸表

2 のれんは、10年間にわたって定額法にて償却する。

3 B社はA社より商品の一部を仕入れている。
A社の売上高のうち、¥4,500,000はB社に対するものであり、
売上利益率は30%である。

4 A社の下記項目の債権は、B社に対するものである。
なお、A社はB社に対して貸倒引当金は設定していない。

受取手形:¥508,000
売掛金:¥829,000

5 B社の期末商品棚卸高のうち、¥850,000はA社より仕入れたものである。

 

解答・解説

問1

(借方)資本金 1,000,000

    利益剰余金 1,450,000

    のれん 130,000

  (貸方)B社株式 1,600,000

      非支配株主持分 980,000

 

問2 連結財務諸表

資料より行う連結修正仕訳は下記のとおりである。(問1以外)

・のれんの消去

2 のれんは、10年間にわたって定額法にて償却する。

(借方)のれん償却 13,000

  (貸方)のれん 13,000

 

・未実現利益の消去

3 B社はA社より商品の一部を仕入れている。

A社の売上高のうち、¥4,550,000はB社に対するものであり、
売上利益率は30%である。

(借方)売上高 1,365,000

  (貸方)売上原価 1,365,000

親会社A社の売上高¥4,550,000→子会社B社に対するものである。
よって、グループ内部の取引のため、利益を消去する必要がある。

利益消去額
売上高¥4,550,000×売上利益率30%=利益消去額¥1,365,000

5 B社の期末商品棚卸高のうち、¥850,000はA社より仕入れたものである。

(借方)売上原価 255,000

  (貸方)商品 255,000

未実現利益の消去に関する仕訳(ダウンストリーム 親から子へ)である。
→期末商品棚卸高¥850,000内の利益を消去する必要がある。

利益率は30%であるため、¥850,000×30%=¥255,000

 

・債務・債務の相殺仕訳

4 A社の下記項目の債権は、B社に対するものである。
なお、A社はB社に対して貸倒引当金は設定していない。

受取手形:¥508,000
売掛金:¥829,000

(借方)支払手形 508,000

    買掛金 829,000

  (貸方)受取手形 508,000

      売掛金 829,000

親子会社間の債権・債務の相殺に関する項目である。

相殺する項目の組み合わせは下記のとおりである。
受取手形ー支払手形
売掛金ー買掛金

相殺に関する仕訳は上記解答のとおりである。

 

最後に、非支配株主へ帰属する当期純利益の振り替え

(借方)非支配株主に帰属する当期純利益 324,000

  (貸方)非支配株主持分 324,000

子会社の当期純利益を増減させる要因はないため、個別財務諸表上のB社の当期純利益より算出する。

非支配株主持分に帰属する当期純利益
子会社B社の当期純利益¥810,000×非支配株主持分比率40%=¥324,000

 

ひっかけポイント

利益剰余金の算出
単純な合算ではなく、期首の合算した利益剰余金+親会社に帰属する当期純利益−投資と資本の相殺分にて算出する。

期首の合算利益剰余金(個別財務諸表にて)
A社+B社の期末利益剰余金−A社+B社の当期純利益

上記に当てはめると

期首の合算利益剰余金
(¥3,950,000+¥2,260,000)−(¥2,570,000+¥810,000)=¥2,830,000

連結財務諸表上の利益剰余金
¥2,830,000+¥2,788,000−¥1,450,000=¥4,168,000

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