2級商業簿記 4.1.6 決算 報告式の貸借対照表・損益計算書の作成

みなさん、こんばんは。

本日は、一連の決算について執筆していきます。

 

決算に関する例題

例 以下の資料をもとに、報告式の貸借対照表・損益計算書を作成しよう。

資料1 決算整理前残高試算表

資料2 決算整理仕訳等

1 得意先に対する売掛金(前期販売分)の一部¥40,000が回収不能であることが判明したため、貸倒として処理する。

2 当期に購入した消耗品のうち¥140,000は、研究開発に使用したものであったことが判明したので、研究開発費勘定へ振り替える。

3 給料のうち¥400,000は、退職金として支払ったものであったことが判明したので、退職給付引当金より控除する。

4 当期中に、国から国庫補助金¥200,000を受け取り当座預金口座に振り込まれたが、未処理である。
なお、8に記載されている建物は、受け取った国庫補助金に自己資金を加えて購入したものであり、購入の会計処理は行った。
しかし、圧縮記帳(直接減額方式)の会計処理はいまだ行っていない。

5 下記債権の期末残高に対して貸倒引当金を差額補充法により設定する。
・売掛金、電子記録債権・・・過去の貸倒実績率1.5%に基づき設定
・貸付金・・・回収不能額50%と見積もり設定 

6 期末商品棚卸高は、次のとおりである。棚卸減耗損および商品評価損は売上原価の内訳項目として表示する。
帳簿棚卸高:数量660個 取得原価@¥800 
実地棚卸高:数量600個 取得原価@¥780

7 平成〇8年9月1日に自社利用ソフトウェアを購入し、代金¥7,200,000は小切手で支払った。
決算にあたり、ソフトウェアの償却を行う。なお、償却期間5年・定額法による。

8 固定資産の減価償却を次のとおり行う。
建物 定額法20年 残存価額ゼロ
備品 定率法 償却率20%

ただし、下記A・Bの条件がある。
A 減価償却費については、固定資産の期首残高を基礎として、4月から2月までの11か月間に毎月見積計上しており、これらの金額は決算整理前残高試算表の減価償却費と減価償却累計額に含まれている。

月間の減価償却費は、下記のとおりである。
建物:¥37,500(Bに係る額を除く)
備品:¥20,000

また、決算にあたり、当期に計上すべき減価償却費(Bに係る額を除く)を算定したところ、建物は¥225,000、備品は¥120,000であった。

B 建物の取得原価(4の未処理事項反映前)のうち\2,400,000は、平成〇8年10月1日に取得したものである。
なお、月次で減価償却を行っていないため、期末に一括して減価償却費を計上(月割償却)する。

9 商標権は平成〇3年4月1日に取得したものであり、定額法により10年間で減価償却を行っている。

10 家賃の前受分¥145,000を繰り延べる。 

11 退職給付引当金の当期繰入高は¥360,000である。 

12 消耗品の期末棚卸高は¥55,200である。

13 税引前当期純利益の40%を法人税、住民税及び事業税に計上する。

 

3 解答前の貸借対照表・損益計算書

 

解答・解説

解答

解説
決算整理仕訳等
1~4:付記事項
5~13:決算整理事項

1 得意先に対する売掛金(前期販売分)の一部¥40,000が回収不能であることが判明したため、貸倒として処理する。

(借方)貸倒引当金 40,000

  (貸方)売掛金 40,000

 

2 当期に購入した消耗品のうち¥140,000は、研究開発に使用したものであったことが判明したので、研究開発費勘定へ振り替える。

(借方)研究開発費 140,000

  (貸方)消耗品 140,000

 

3 給料のうち¥400,000は、退職金として支払ったものであったことが判明したので、退職給付引当金より控除する。

(借方)退職給付引当金 400,000

  (貸方)給料 400,000

 

4 当期中に、国から国庫補助金¥200,000を受け取り当座預金口座に振り込まれたが、未処理である。
なお、8に記載されている建物は、受け取った国庫補助金に自己資金を加えて購入したものであり、購入の会計処理は行った。
しかし、圧縮記帳(直接減額方式)の会計処理はいまだ行っていない。

国庫補助金受け取り時の仕訳

(借方)当座預金 200,000

  (貸方)国庫補助金受贈益 200,000

 

圧縮記帳に関する追加仕訳

(借方)固定資産圧縮損 200,000

  (貸方)建物 200,000

 

圧縮記帳時の仕訳

(借方)建物 2,200,000

    固定資産圧縮損 200,000

  (貸方)当座預金 2,400,000

 

項目8の固定資産購入時の仕訳(計上済)

(借方)建物 2,400,000

  (貸方)当座預金 2,400,000

 

この仕訳より、圧縮記帳を行った状態にするには、

(借方)固定資産圧縮損 200,000

  (貸方)建物 200,000

とすればよい

 

5 下記債権の期末残高に対して貸倒引当金を差額補充法により設定する。

・売掛金、電子記録債権・・・過去の貸倒実績率1.5%に基づき設定 
・貸付金・・・回収不能額50%と見積もり設定
なお、貸倒引当金の残高は一般債権が¥120,000、貸付金は¥12,000である。

(借方)貸倒引当金繰入 294,400

  (貸方)貸倒引当金 294,400

一般債権
貸倒引当金設定額・・・(売掛金¥2,800,000+電子記録債権¥3,000,000-貸倒分売掛金¥40,000)×1.5%=¥86,400 

現在の貸倒引当金残高
¥120,000-¥40,000=¥80,000

差額補充法にて計上するため、
¥86,600-¥80,000=¥6,400
→一般債権に対する貸倒引当金繰入額

貸付金
貸付金の50%を貸倒引当金として設定
貸付金¥600,000×50%=¥300,000

差額補充法であるため
¥300,000-¥12,000=¥288,000

一般債権と貸付金の貸倒引当金を合計すると、
¥6,400+¥288,000=¥294,400

なお、損益計算書の区分は下記のとおりである。

一般債権:販売費及び一般管理費
貸付金:営業外費用

 

6 期末商品棚卸高は、次のとおりである。棚卸減耗損および商品評価損は売上原価の内訳項目として表示する。

帳簿棚卸高:数量660個 取得原価@¥800 
実地棚卸高:数量600個 正味売却価額@¥780

(借方)仕入 512,000

    繰越商品 528,000

    棚卸減耗損 48,000

    商品評価損 12,000

    仕入 60,000

  (貸方)繰越商品 512,000

      仕入 528,000

      繰越商品 60,000

      棚卸減耗損 48,000

      商品評価損 12,000

・棚卸減耗損・・・(帳簿個数660個ー実地個数600個)×¥800=¥48,000
・商品評価損・・・実地個数600個×(取得原価¥800-正味売却価額¥780)=¥12,000

 

7 平成〇8年9月1日に自社利用ソフトウェアを購入し、代金¥7,200,000は小切手で支払った。
決算にあたり、ソフトウェアの償却を行う。
なお、償却期間5年・定額法による。

(借方)ソフトウェア償却 840,000

  (貸方)ソフトウェア 840,000 

ソフトウェア償却期間:5年(60か月)
購入~決算日:7か月

ソフトウェア償却費
取得原価¥7,200,000×7か月÷60か月=¥840,000

 

8 固定資産の減価償却を次のとおり行う。

建物 定額法20年 残存価額ゼロ
備品 定率法 償却率20%

ただし、下記A・Bの条件がある。
A 減価償却費については、固定資産の期首残高を基礎として、4月から2月までの11か月間に毎月見積計上しており、これらの金額は決算整理前残高試算表の減価償却費と減価償却累計額に含まれている。

月間の減価償却費は、下記のとおりである。
建物:¥37,500(Bに係る額を除く)
備品:¥20,000

また、決算にあたり、当期に計上すべき減価償却費(Bに係る額を除く)を算定したところ、建物は¥450,000、備品は¥240,000であった。

B 建物の取得原価(4の未処理事項反映前)のうち¥2,400,000は、平成〇8年10月1日に取得したものである。
なお、月次で減価償却を行っていないため、期末に一括して減価償却費を計上(月割償却)する。

(借方)減価償却費 112,500

  (貸方)建物減価償却累計額 92,500

      備品減価償却累計額 20,000

項目Aの減価償却費
建物
(帳簿価額¥11,400,000-項目B分¥2,400,000)÷20年=¥450,000/年(問題文のとおり)
11か月間減価償却費を計上しているため、1か月分のみ計上すればよい。

よって、¥450,000×1か月÷12か月=¥37,500となる。(問題文のとおり)

備品
期首時点の備品減価償却累計額:¥1,420,000-(月当たりの減価償却費¥20,000×11か月)=¥1,200,000

今期の備品減価償却費:(帳簿価額¥2,400,000-期首の備品減価償却累計額¥1,200,000)×20%=¥240,000/年

11か月間減価償却費を計上しているため、決算整理仕訳では1か月分のみ計上すればよい。

よって、¥240,000×1か月÷12か月=¥20,000となる。(問題文のとおり)

項目Bの減価償却費
建物:取得原価は¥2,400,000
しかし、項目4にて圧縮記帳(直接減額方式)を行い、建物の価値を¥200,000減らしているので、
¥2,400,000-¥200,000=¥2,200,000
→新たに取得した建物の帳簿価額である。

帳簿価額¥2,200,000÷20年=¥110,000/年

減価償却費は6か月分計上するため
¥110,000×6か月÷12か月=¥55,000

よって、ここで計上する減価償却費は・・・
建物:¥37,500+¥55,000=¥92,500
備品:¥20,000
決算整理前の減価償却費:¥632,500
計¥745,000となる。

 

9 商標権は平成〇3年4月1日に取得したものであり、定額法により10年間で減価償却を行っている。

(借方)商標権償却 560,000

  (貸方)商標権 560,000

商標権:取得日から期首まで5年間(60か月)経過している。
→帳簿価額は、5年分償却後の金額である。
商標権償却額:¥2,800,000×1年÷償却残数5年=¥560,000

 

10 家賃の前受分¥145,000を繰り延べる。

(借方)受取家賃 145,000

  (貸方)前受家賃 145,000

 

11 退職給付引当金の当期繰入高は¥360,000である。

(借方)退職給付費用 360,000

  (貸方)退職給付引当金 360,000

 

12 消耗品の期末棚卸高は¥55,200である。

(借方)消耗品費 44,800

  (貸方)消耗品 44,800

帳簿上の消耗品:¥240,000
うち、¥140,000は項目2にて研究開発費として計上しているため、消耗品の帳簿価額は¥100,000である。

消耗品の期末残高は、¥55,200であるため、
消耗品帳簿価額¥100,000-消耗品残高¥55,200=消耗品費¥44,800

 

13 税引前当期純利益の40%を法人税、住民税及び事業税に計上する。

(借方)法人税等 1,130,720

  (貸方)仮払法人税等 640,000

      未払法人税等 490.720

法人税等の金額 
税引前当期純利益¥2,826,800×40%=1,130,720

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