2級商業簿記 2.4.5 期中取引 固定資産 減価償却費(定率法)

本日は、定率法による減価償却費の計上について、執筆していきます。

 

定率法とは

定率法

固定資産の現在価値に一定の割合を掛けて算出する方法をいう。

この方法を採用した場合の減価償却費は、取得直後に多く計上し、年数経過ともに減価償却費が減っていくのが特徴である。

現在は、定額法の2倍の償却率を乗じる200%定率法を採用することが多い。

定率法による減価償却費のイメージ

図の緑線を見ると、年数が経過するごとに減価償却費が減少している。

定率法による減価償却費の計上

例題をもとに減価償却費を計上する。

取得原価¥300,000の備品の減価償却費を計上する。
ただし、減価償却の条件は下記のとおりである。

耐用年数:5年
残存価額:ゼロ
記帳法 :直接法
償却方法:200%定率法

減価償却費を算出するために、次の作業を行う。

1 償却率の算出

定額法を採用した場合の償却率
1(100%)÷耐用年数5年
=償却率0.2(20%) 

定率法の償却率は定額法の200%であるため
0.2(20%)×2(200%)
=償却率0.4(40%)

2 減価償却費の算出

(現時点の固定資産価格-残存価額)×償却率
=減価償却費

よって、 

取得1年目の減価償却費

(借方)減価償却費 120,000

(貸方)備品 120,000

 

取得2年目の減価償却費

(借方)減価償却費 72,000

  (貸方)備品 72,000

・2年目の固定資産価格
¥300,000ー¥120,000
=¥180,000

・減価償却費算出
¥180,000ー¥0×40%
=¥72,000

 

取得3年目の減価償却費

(借方)減価償却費 43,200

  (貸方)備品 43,200

・3年目の固定資産価格
¥180,000-¥72,000
=¥108,000

・減価償却費算出
¥108,000-¥0×40%
=¥43,200

 

取得4年目の減価償却費

(借方)減価償却費 25,920

  (貸方)備品 25,920

・4年目の固定資産価格
¥108,000-¥43,200
=¥64,800

・減価償却費算出
¥64,800-¥0×40%
=¥25,920

 

取得5年目の減価償却費

(借方)減価償却費 15,552

  (貸方)備品 15,552

・5年目の固定資産価格
¥64,800ー¥24,920
=¥38,880

・減価償却費算出
¥38,880ー¥0×40%
=¥15,552

耐用年数経過後で固定資産の簿価が¥23,328残っている。

固定資産の簿価
¥38,880-¥15,552
=¥23,328

このまま減価償却を実施しても、簿価が0になるまで多大な時間がかかる。

そこで、定率法による減価償却では、償却保証率が定められている。

そのため、減価償却費の割合が償却保証率を下回る場合、定められた償却率(改定償却率)を採用し、定額法にて減価償却費を計上する。

 

保証率と改定償却率とは

保証率

最低計上する取得原価に対する減価償却費の割合をいう。固定資産の耐用年数ごとに定められている。
 
償却率は下記の公式にて求められる。
償却率=
減価償却費÷(取得原価−残存価格)

 

改定償却率

定率法にて算出した減価償却費が、償却保証率を下回った場合の指定の償却率をいう。

改定償却率は、耐用年数ごとに定められている。
改定償却率を採用後は定額法にて減価償却をおこなう。

200%定率法の償却率・改定償却率・保証率のデータ(一部)

 

定率法による減価償却費の計上(改定償却率採用)

例題をもとに減価償却費を見ていこう。

取得原価¥300,000の備品の減価償却費(1年目〜5年目)を下記のデータをもとに計上する。

・耐用年数:5年
・残存価格:ゼロ
・償却方法:200%定率法
・記帳法 :直接法

 

なお、200%定率法の償却率・改定償却率・保証率に関するデータは下記の通りである。


1年目の減価償却費:¥120,000
2年目の減価償却費:¥72,000
3年目の減価償却費:¥43,200
4年目の減価償却費:¥32,400
5年目の減価償却費:¥32,400

1 減価償却費の保証額の算出を行う。

耐用年数5年の欄をもとに算出する。
(取得原価¥300,000−残存価格¥0)×保証率0.10800
=減価償却費保証額¥32,400

 

2 減価償却費を算出する。

1年目:
備品価格¥300,000×償却率0.4
=¥120,000

2年目:
備品価格¥180,000×償却率0.4
=¥ 72,000

※備品価格
¥300,000-¥120,000
=¥180,000

3年目:
備品価格¥108,000×償却率0.4
=¥ 43,200

※備品価格
¥180,000-¥72,000
=¥108.000

4年目:
備品価格¥64,800×償却率0.4
=¥25,920

しかし、4年目の減価償却費は減価償却費保証額¥32,400を下回っている。

よって、4年目以降は改定償却率を採用し、定額法にて減価償却費を計上する。

4年目、5年目:
備品価格¥64,800×改定償却率0.5
=¥32,400

※備品価格
¥108,000-¥43,200
=¥64,800

以上、定率法による減価償却費の計上について、取り上げました。

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