2級商業簿記 3.1.3 連結会計 修正仕訳(未実現利益の消去)

みなさん、こんばんは。

本日は、連結会計の修正仕訳のうち、未実現利益の消去について執筆していきます。

 

未実現利益とは

未実現利益・・・連結グループ間で生じた利益のうち、まだ実現していない利益を指す。
また、未実現利益には、実現していない収益・費用も含む。

※実現:連結グループ外部の者(会社または個人)との取引が成立することをいう。

よって未実現とは、連結グループ外で取引として成立していない状態をいう。

 

ダウンストリーム・アップストリームとは

企業グループ内の損益を伴う取引には、ダウンストリームとアップストリームの2通りがある。

ダウンストリーム・・・ 親会社から子会社への損益を伴う取引をいう。 これらの取引で生じた未実現利益は全て消去する。

理由:未実現利益を計上しているのは親会社であるためすべて負担する必要があるため。

アップストリーム・・・子会社から親会社への損益を伴う取引をいう。
これらの取引で生じた損益は、親会社が保有する子会社株式の持分に応じて消去する。

理由:未実現利益を計上しているのは子会社である。
→非支配株主が存在する場合、親会社が未実現利益をすべて負担するのはふさわしくないため。 

ダウンストリームとアップストリームの図

 

未実現利益の消去(ダウンストリーム)

例:親会社A 社は外部より仕入れた商品¥50,000を子会社B社に¥60,000で売り渡している。
なお、期末時点で商品は子会社に在庫として残っている。
よって、未実現利益の消去を行う。
 
取引の詳細を下記に示す。
・A社のB社株式保有率は発行済株式の80%である。
・税効果会計は適用しない
・これ以外に、親会社から子会社に対して損益を伴う取引はない。

(借方)売上原価 10,000

  (貸方)商品 10,000
 
ダウンストリーム:親会社から子会社への損益を伴う取引をいう。
→利益は親会社にすべて帰属するため、未実現の損益をすべて取り消す。
 
消去する未実現利益
売価¥60,000-原価¥50,000=利益¥10,000

 

未実現利益の消去(アップストリーム)

例:子会社B社は外部より仕入れた商品¥50,000を親会社A社に¥60,000で売り渡している。
なお、期末時点で商品は子会社に在庫として残っている。
よって、未実現利益の消去を行う。
取引の詳細を下記に示す。
・A社のB社株式保有率は発行済株式の80%である。
・税効果会計は適用しない
・これ以外に、子会社から親会社に対して損益を伴う取引はない。

A 未実現利益の消去

(借方)売上原価 10,000

  (貸方)商品 10,000
 
B 非支配株主への未実現利益の按分

(借方)非支配株主持分 20

  (貸方)非支配株主に帰属する当期純利益 20

アップストリーム:子会社から親会社への損益を伴う取引をいう。
→未実現利益を非支配株主にも持分に応じて負担させる必要がある。

A 未実現利益の消去
ダウンストリームと同じである。
しかしこの状態では、未実現利益をすべて親会社が負担していることになる。
→非支配株主に未実現利益を負担させる処理を行う。

消去する未実現利益
売価¥60,000-原価¥50,000=利益¥10,000
 
B 非支配株主への未実現利益の按分
・非支配株主に負担させる未実現利益
全体の未実現利益¥10,000×非支配株主持分20%=¥2,000
→親会社が負担する未実現利益より減らす処理を行う。

・非支配株主に帰属する当期純利益が貸方
→非支配株主に帰属する利益が減少することを意味する。
   
・非支配株主持分が借方
→非支配株主持分の減少することを意味する。

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