2級商業簿記 期中取引 2.6 満期保有目的債券

本日は、満期保有目的債券について、執筆していきます。

 

満期保有目的債券とは

満期保有目的債券

満期日(償還日)まで保有する目的の債券をいう。
例として、社債・国債などがあてはまる。

これらの債券の発行方法は、平価発行・割引発行・打歩発行の3種類がある。

平価発行

債券を額面価額で発行することを言う。

割引発行

債券を額面価額を下回る価額で発行することを言う。
実質的な利率を上げるために行う。
最も行われる社債発行の形態である。

打歩(うちぶ)発行

債券を額面価額を上回る価額で発行することを言う。
実質的な利率を下げるために行う。
現在ではあまり用いられることはない。

 

満期保有目的債権を購入した場合の記帳

例:〇2年7月1日に鹿児島商会株式会社は、満期まで保有することを目的として伊藤産業株式会社の社債を額面¥100あたり¥99で購入し、代金は端数利息(月割計算)とともに小切手を振り出して支払った。

なお、購入時の社債のデータは下記のとおりである。

額面価額:¥1,000,000
年利率:2.0%
利払い:年2回(3月末・9月末)
満期日:○6年3月31日

解答

(借方)満期保有目的債券 990,000

    有価証券利息 5,000

   (貸方)当座預金 995,000

 

解説

必要な情報は下記の項目である。

A 社債はいくらで購入したか

問題文の「額面¥100あたり¥99で購入」
→「額面の99%の価格で購入」という意味である。
¥100の99%→¥99になるため。

上記の社債の場合は・・・
額面価額¥1,000,000×99%
=¥990,000
これが社債の購入価額である。

 

B 端数利息の算出

端数利息

前回の利払い日の翌日から債権の売却までの利息をさす。
この場合、購入する側であるため、債権の売り主に端数利息を支払う。

債権の購入は7月1日
前回の利払い日は3月31日であるため、4/1から6/30までの利息が端数利息に該当する。

例題の利息の内訳を図にて示すと、下記のとおりである。

利払い日に前の社債所有者に帰属する利息を受け取ることとなる。
→その分を端数利息として支払う必要がある。

年間の利息

額面¥1,000,000×2%
=¥20,000

端数利息

¥20,000×3ヶ月÷12ヶ月
=¥5,000
端数利息は有価証券利息(収益の勘定)を使用し、処理する。

収益分を支払う
→収益の減少を伴うので仕訳は、
(借方)有価証券利息 5,000 

となる

 

C 代金の支払い

代金は端数利息とともに小切手を振り出して支払ったので、
買い入れ価格¥990,000+端数利息¥5,000
=¥995,000

よって、仕訳は
(貸方)当座預金 995,000

これら、解説で示した仕訳をまとめると、解答のようになる。

 

満期保有目的債券の額面価額と買入価額の差額の処理

満期保有目的債券を購入する場合、額面価額より割引発行されていることが多い。

理由:実質的な利息を増やすため。
→額面価額と購入価額の差額は利息と考えることができる。

この差額を保有期間に応じて、
決算時に差額を均等に満期保有目的債券として計上する必要がある。
この処理の名称を償却原価法という。

ここでは、償却原価法(定額法)について執筆していく。

 

決算時の満期保有目的債券の処理

例1 葉山株式会社(決算日:3月31日)は、○2年4月1日に伊藤物産株式会社の社債(満期日:○6年3月31日)を満期保有目的で購入し、代金は小切手にて支払った。

なお、購入した社債のデータは下記のとおりである。

額面価額:¥1,000,000
発行価額:額面¥100あたり¥98
年利率:2.0%
利払い:年2回(3月末・9月末)

解説

(借方)満期保有目的債券 980,000

  (貸方)当座預金 980,000

解説

額面価額¥1,000,000×98%
=¥980,000

 

例2 ○2年9月末に、例1の債券の利息半年分が当座預金口座へ振り込まれた。

解答

(借方)当座預金 10,000

  (貸方)有価証券利息 10,000

解説

有価証券利息の算出

債券額面¥1,000,000×年利率2%
=¥20,000

半年分なので、
¥20,000÷2=¥10,000

有価証券に関する利息であるため、有価証券利息勘定(収益の勘定)を使用し、処理する。

 

例3 ○3年3月末に、例1の債券の利息半年分が当座預金口座へ振り込まれた。

解答

(借方)当座預金 10,000

  (貸方)有価証券利息 10,000

解説

計算は、例2と同様である。

 

例4 ○3年3月31日の決算にあたり、○2年4月1日に購入した債券の額面価額と発行価額の差額は利息分とみなすことができるため、償却原価法(定額法)にて利息を計上する。

解答

(借方)満期保有目的債券 5,000

  (貸方)有価証券利息 5,000

解説

1 債券の額面価額と発行価額の差額を算出する。

債券の額面価額¥1,000,000−債券の発行価額¥980,000
=¥20,000

2 債券の購入日から満期日までの期間を確認する。

この債券の場合は、
○2年4月1日〜○6年3月31日までの4年間(48ヶ月)である。

3 1にて算出した差額を経過日数分均等に利息として計上する。

今回の場合、○2年4月1日〜○3年31日(1年分)の利息を計上する。

償却原価法にて計上する利息の算出

額面価額と発行価額の差額¥20,000÷満期日までの期間4年
=償却原価法にて計上する年間利息¥5,000

 

満期保有目的債券取得時の手数料に関する処理

満期保有目的債券を取得時にかかる手数料は、取得価額に含めて計上する。

例:〇2年7月1日に鹿児島商会株式会社は、満期まで保有することを目的として伊藤産業株式会社の社債を額面¥100あたり¥99で購入し、代金は端数利息(月割計算)と取得手数料¥2,000とともに小切手を振り出して支払った。

なお、購入時の社債のデータは次ページのとおりである。

額面価額:¥1,000,000
年利率:2.0%
利払い:年2回(3月末・9月末)
満期日:○6年3月31日

解答

(借方)満期保有目的債券 992,000

    有価証券利息 5,000

  (貸方)当座預金 997,000

 

解説

A 社債はいくらで購入したか

問題文の「額面¥100あたり¥99で購入」
→額面の99%の価格で購入という意味である。

上記の社債の場合は・・・

額面価額¥1,000,000×99%
=¥990,000・・・A

取得手数料 ¥2,000・・・B

A+B=¥992,000

 

B 端数利息の算出

購入する側であるため、債権の売り主に端数利息を支払う。

債権の購入は7月1日
前回の利払い日は3月31日であるため、4/1から6/30までの利息が端数利息に該当する。

例題の利息の内訳を図にて示すと、下記のとおりである。

利払い日に、前の社債所有者に帰属する利息を受け取ることとなる。
→その分を端数利息として支払う必要がある。

年間の利息

額面¥1,000,000×2%
=¥20,000

端数利息

¥20,000×3ヶ月÷12ヶ月
=¥5,000

端数利息は有価証券利息(収益の勘定)を使用し、処理する。

収益分を支払う
→収益の減少を伴うので仕訳は、

(借方)有価証券利息 5,000 

となる

 

C 代金の支払い

代金は端数利息とともに小切手を振りして支払ったので、
買い入れ価格¥992,000+端数利息¥5,000
=¥997,000

よって、仕訳は

(貸方)当座預金 997,000

これら、解説で示した仕訳をまとめると、解答のようになる。

以上、満期保有目的債権について、取り上げました。

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