2級商業簿記 2.7.1 期中取引 純資産 純資産に関する記帳

本日は、2級範囲の純資産に関する記帳について、執筆していきます。

 

純資産とは

純資産

総資産から総負債を引いた金額をいう。

2級範囲の株式会社の純資産は株主資本と評価・換算差額等の2つがある。

貸借対照表の構成を下記に示す。

図にて示したように、純資産は以下の項目に分類することができる。

 

株主資本

純資産のうち企業の株主に帰属するものをいう。

株主資本に該当するものは、主に下記のものが当てはまる。

資本金

株主が株式会社に出資したお金をいう。

会社の元手である。

原則すべて資本金とするが、例外として払込金額の1/2以内を資本金とせず、資本準備金とすることができると会社法に定められている。

 

資本剰余金 

資本準備金

株主より出資を受けたお金のうち、資本金としなかった部分をいう。

資本準備金については資本金の項を参照していただきたい。

 

利益準備金

利益剰余金のうち、会社法にて計上することが義務付けられている法定準備金をいう。

利益準備金を計上しなければならないパターンとして、株主へ剰余金を配当したときが挙げられる。

 

その他利益剰余金

任意積立金

設備投資などの目的で使用するお金の積立金をいう。

例として、新築積立金、別途積立金などがある。

 

繰越利益剰余金

企業設立から現在までの利益の総額を示したものをいう。
株式会社の損益は、この項目の金額が増減する。 

 

評価・換算差額等

2級範囲の内容は、その他有価証券評価差額金が当てはまる。

その他有価証券

売買目的有価証券・満期保有目的債券・子会社株式・関連会社株式以外の有価証券などをいう。

その他有価証券評価差額金

その他有価証券の時価評価の差額を示したものをいう。

 

株主資本に関する記帳

増資(株式会社)に関する処理

株式を発行した場合の処理の原則・例外

原則
払込金の全額資本金とする。

例外
払込金の1/2以上を資本金とし、残りを資本準備金とすることができる。
(会社法による)

例:冨岡工業株式会社は、増資のため株式1,000株(1株あたり¥1,000)を発行し、払込金は、全額当座預金に預け入れた。
なお、会社法に定める最低額を資本金とし、残額は資本準備金とした。

解答

(借方)当座預金 1,000,000

  (貸方)資本金 500,000

      資本準備金 500,000

解説

払込金
¥1,000×1,000株
=¥1,000,000

資本金について、
会社法にて1/2以上計上すると定められている。

よって、
¥1,000,000×1/2
=¥500,000

残額¥500,000は資本準備金として計上する。

 

配当を行ったとき

配当は繰越利益剰余金より行う。

ただし、配当を行った場合は、資本金の1/4に達するまで配当金の1/10を利益準備金として計上することが会社法にて、定められている。
 
例:五十嵐物産株式会社は、株主総会にて繰越利益剰余金の配当¥500,000を行うことを決議した。
なお、五十嵐物産株式会社の資本金は¥5,000,000、利益準備金は¥700,000であり、会社法で定められた利益準備金を計上する。

解答

(借方)繰越利益剰余金 550,000

   (貸方)未払配当金 500,000

       利益準備金 50,000

解説 

配当¥500,000の処理

配当¥500,000を行うことを決議した
→まだ配当金は支払われていない。

よって、未払配当金勘定を使用し、処理する。

利益準備金の算出

イ 資本金¥5,000,000の1/4
→¥1,250,000

ロ 利益準備金
→¥700,000

ハ 配当¥500,000の1/10
→¥50,000

資本金の1/4¥1,250,000−利益準備金¥700,000
=¥550,000・・・1

配当¥500,000の1/10
=¥50,000・・・2

1と2を比較し、金額が少ないのは2であるため、配当の1/10¥50,000を利益準備金として計上する。

(貸方)利益準備金 500,000

これらは、繰越利益剰余金の処分であるため、

(借方)繰越利益剰余金
    550,000

となる。

 

任意積立金を計上したときの処理

任意積立金

何らかの目的(設備投資など)のために予め計上するもの。
積立金には、新築積立金・減債積立金・別途積立金などがある。
勘定科目は〇〇積立金となる。

例:佐倉物産株式会社は、新築積立金¥2,000,000を積み立てることを株主総会にて決議した。

解答

(借方)繰越利益剰余金 2,000,000

   (貸方)新築積立金 2,000,000

 

その他有価証券に関する記帳

その他有価証券

下記の有価証券に当てはまらない有価証券をいう。

その他有価証券の例として、株式持ち合いによる相手方の株式などがある。 

 

その他有価証券評価差額金

その他有価証券の価値の増減を表したものをいう。
これらは、すべて純資産として計上される。
→全部純資産直入法という。

その他有価証券評価差額金が・・・

借方に計上される

→その他有価証券の価値が下がることを意味する。
(貸方にその他有価証券勘定が計上されるため。)

貸方に計上される

その他有価証券の価値が上がることを意味する。
(借方にその他有価証券勘定が計上されるため。)

これより、仕訳例を示す。

例1:伊藤物産株式会社は、その他有価証券を¥1,100,000から ¥1,000,000に評価替えした。ただし、全部純資産直入法にて行う。

解答

(借方)その他有価証券評価差額金
    100,000

  (貸方)その他有価証券 
      100,000

例2:髙橋物産株式会社は、その他有価証券を¥1,000,000から ¥1,100,000に評価替えした。ただし、全部純資産直入法にて行う。

解答

(借方)その他有価証券 100,000

 (貸方)その他有価証券評価差額金 
     100,000

記事カテゴリー
2級商業簿記 
bokikouzaをフォローする
簿記講座.com

コメント

タイトルとURLをコピーしました