2級商業簿記 期中取引 2.5  売買目的有価証券  

本日は、2級より加わる「売買目的有価証券」に関する処理について、執筆していきます。

 

売買目的にて債権を購入した際の記帳

例題をもとに仕訳を見ていこう。

例:〇2年7月1日に鹿児島商会株式会社は、売買を目的として伊藤産業株式会社の社債を額面¥100あたり¥99で購入し、代金は端数利息(月割計算)とともに小切手を振り出して支払った。
なお、購入時の社債のデータは下記のとおりである。

額面価額:¥1,000,000
年利率:2.0%
利払い:年2回(3月末・9月末)

解答

(借方)売買目的有価証券 
    990,000

    有価証券利息 5,000

  (貸方)当座預金 995,000

 

解説

必要な情報は下記の項目である。

A 社債はいくらで購入したか

問題文の「額面¥100あたり¥99で購入」
これは、額面の99%の価格で購入という意味である。

¥100の99%
→¥99になるため。

上記の社債の場合は

額面価額¥1,000,000×99%
=¥990,000

これが社債の購入価額である。

よって、仕訳は

(借方)売買目的有価証券 
    990,000

 

B 端数利息の算出

端数利息

前回の利払い日の翌日から債権の売却までの利息をさす。

この場合、購入する側であるため、債権の売り主に端数利息を支払う。

例題の場合、債権の購入は7月1日

前回の利払い日は3月31日であるため、
4/1から6/30までの利息が端数利息に該当する。

例題の利息の内訳を図にて示す。

利払い日に前の社債所有者に帰属する利息を受け取ることとなる。
→その分を端数利息として支払う必要がある。

年間の利息

額面¥1,000,000×2%=¥20,000

端数利息

¥20,000×3ヶ月÷12ヶ月=¥5,000

端数利息は有価証券利息(収益の勘定)を使用し、処理する。

収益分を支払う
→収益の減少を伴う。

よって、仕訳は

(借方)有価証券利息 5,000 

となる

 

C 代金の支払い

代金は端数利息とともに小切手を振り出して支払ったので

買い入れ価格¥990,000+端数利息¥5,000
=¥995,000

よって、仕訳は

  (貸方)当座預金 995,000

となる。

これら3点の仕訳をまとめると、解答のとおりとなる。

 

売買目的の債権を売却した際の記帳

例:〇2年7月1日に鹿児島商会株式会社は、売買を目的として安藤産業株式会社の社債を額面¥100あたり¥99で売却し、代金は端数利息(月割計算)とともに小切手にて受け取った。
なお、購入時の社債のデータは下記のとおりである。

額面価額:¥1,000,000
年利率:2.0%
利払い:年2回(3月末・9月末)
社債購入価額:額面¥100あたり¥98

 

解答

(借方)現金 995,000

(貸方)売買目的有価証券
    980,000

    有価証券利息 5,000

    有価証券売却益 10,000

 

解説

必要な情報は下記の項目である。

A 社債はいくらで購入したか

問題文の「額面¥100あたり¥99で売却」
→額面の99%の価格で売却という意味である。

¥100の99%
→¥99になるため。

上記の社債の場合は

額面価額¥1,000,000×99%
=¥990,000

これが社債の売却価額である。

 

B 端数利息の算出

端数利息

前回の利払い日の翌日から債権の売却までの利息をさす。

この場合、売却する側であるため、債権の買い主より端数利息を受け取る。

債権の売却は7月1日

前回の利払い日は3月31日であるため、4/1から6/30までの利息が端数利息に該当する。

例題の利息の内訳を図にて示す。

利払い日に自身に帰属する利息を相手は受け取ることとなる。
→その分を端数利息として受け取ることができる。

年間の利息

額面¥1,000,000×2%=¥20,000

端数利息

¥20,000×3ヶ月÷12ヶ月=¥5,000

端数利息は有価証券利息(収益の勘定)を使用し、処理する。

収益分を受け取る
→収益の増加を伴う

よって、仕訳は

 (貸方)有価証券利息 5,000 

となる

 

C 売却する社債の価額

額面¥100あたり¥98で購入
→額面の98%の価額で売却という意味であるため、

額面価額¥1,000,000×98%=¥980,000

この価額が売却する社債の価額である。

よって、仕訳は

(貸方)売買目的有価証券 980,000

 

D 小切手受け取り額

代金は端数利息とともに小切手にて受け取ったので、

売却価格¥990,000+端数利息¥5,000
=¥995,000

よって、仕訳は

(借方)現金 995,000

 

E 有価証券売却損益額の算出

売却価額¥990,000−売買目的有価証券¥980,000
=¥10,000

売却価額が¥10,000上回っているため、売却益が発生している。

よって、仕訳は

(貸方)有価証券売却益 10,000

これらの仕訳をまとめると、解答のとおりとなる。

 

売買目的有価証券に関する手数料の記帳

売買目的有価証券の手数料の処理は、下記のように行う。

購入時

購入価額に含めて処理する。

購入価額=
有価証券購入額+買入手数料 
にて算出する。

売却時

売却価額から売却手数料を差し引いた額にて算出する。

売却額=
有価証券売却額−売却手数料 
にて算出する。

 

例題を見ていこう。

例1:畑中物産株式会社は売買を目的として神宮株式会社の株式100株(@¥5,000)を購入し、代金は買入手数料¥20,000とともに小切手を振り出して支払った。

解答

(借方)売買目的有価証券 520,000

  (貸方)当座預金 520,000

解説

売買目的有価証券の購入価額

購入価額¥500,000+買入手数料¥20,000
=¥520,000

 

例2:日和物産株式会社は売買を目的として大阪株式会社の株式100株(@¥5,000)を売却し、売却手数料¥20,000を差し引いた額を小切手にて受け取った。
なお、当該株式1株あたりの取得原価は ¥4,700である。

解答

(借方)現金 480,000

(貸方)売買目的有価証券 470,000

    有価証券売却益 10,000

 

解説 

売買目的有価証券の売却価額

¥5,000×100株
=¥500,000

有価証券の売却手数料 

¥20,000

小切手受け取り額

売却価額¥500,000−売却手数料¥20,000
=¥480,000

この例題の場合、有価証券の売却価額である。

売却価額と取得価額の差額

売却価額¥480,000−取得価額¥470,000
=¥10,000

売却価額が取得価額を上回っているため、有価証券売却益にて処理する。

 

以上、日商簿記2級より加わる「売買目的有価証券」について取り上げました。

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