本日は、2級より加わる「売買目的有価証券」に関する処理について、執筆していきます。
売買目的にて債権を購入した際の記帳
例題をもとに仕訳を見ていこう。
例:〇2年7月1日に鹿児島商会株式会社は、売買を目的として伊藤産業株式会社の社債を額面¥100あたり¥99で購入し、代金は端数利息(月割計算)とともに小切手を振り出して支払った。
なお、購入時の社債のデータは下記のとおりである。
額面価額:¥1,000,000
年利率:2.0%
利払い:年2回(3月末・9月末)
解答
(借方)売買目的有価証券
990,000
有価証券利息 5,000
(貸方)当座預金 995,000
解説
必要な情報は下記の項目である。
A 社債はいくらで購入したか
問題文の「額面¥100あたり¥99で購入」
これは、額面の99%の価格で購入という意味である。
¥100の99%
→¥99になるため。
上記の社債の場合は
額面価額¥1,000,000×99%
=¥990,000
これが社債の購入価額である。
よって、仕訳は
(借方)売買目的有価証券
990,000
B 端数利息の算出
端数利息
前回の利払い日の翌日から債権の売却までの利息をさす。
この場合、購入する側であるため、債権の売り主に端数利息を支払う。
例題の場合、債権の購入は7月1日
前回の利払い日は3月31日であるため、
4/1から6/30までの利息が端数利息に該当する。
例題の利息の内訳を図にて示す。
利払い日に前の社債所有者に帰属する利息を受け取ることとなる。
→その分を端数利息として支払う必要がある。
年間の利息
額面¥1,000,000×2%=¥20,000
端数利息
¥20,000×3ヶ月÷12ヶ月=¥5,000
端数利息は有価証券利息(収益の勘定)を使用し、処理する。
収益分を支払う
→収益の減少を伴う。
よって、仕訳は
(借方)有価証券利息 5,000
となる
C 代金の支払い
代金は端数利息とともに小切手を振り出して支払ったので
買い入れ価格¥990,000+端数利息¥5,000
=¥995,000
よって、仕訳は
(貸方)当座預金 995,000
となる。
これら3点の仕訳をまとめると、解答のとおりとなる。
売買目的の債権を売却した際の記帳
例:〇2年7月1日に鹿児島商会株式会社は、売買を目的として安藤産業株式会社の社債を額面¥100あたり¥99で売却し、代金は端数利息(月割計算)とともに小切手にて受け取った。
なお、購入時の社債のデータは下記のとおりである。
額面価額:¥1,000,000
年利率:2.0%
利払い:年2回(3月末・9月末)
社債購入価額:額面¥100あたり¥98
解答
(借方)現金 995,000
(貸方)売買目的有価証券
980,000
有価証券利息 5,000
有価証券売却益 10,000
解説
必要な情報は下記の項目である。
A 社債はいくらで購入したか
問題文の「額面¥100あたり¥99で売却」
→額面の99%の価格で売却という意味である。
¥100の99%
→¥99になるため。
上記の社債の場合は
額面価額¥1,000,000×99%
=¥990,000
これが社債の売却価額である。
B 端数利息の算出
端数利息
前回の利払い日の翌日から債権の売却までの利息をさす。
この場合、売却する側であるため、債権の買い主より端数利息を受け取る。
債権の売却は7月1日
前回の利払い日は3月31日であるため、4/1から6/30までの利息が端数利息に該当する。
例題の利息の内訳を図にて示す。
利払い日に自身に帰属する利息を相手は受け取ることとなる。
→その分を端数利息として受け取ることができる。
年間の利息
額面¥1,000,000×2%=¥20,000
端数利息
¥20,000×3ヶ月÷12ヶ月=¥5,000
端数利息は有価証券利息(収益の勘定)を使用し、処理する。
収益分を受け取る
→収益の増加を伴う
よって、仕訳は
(貸方)有価証券利息 5,000
となる
C 売却する社債の価額
額面¥100あたり¥98で購入
→額面の98%の価額で売却という意味であるため、
額面価額¥1,000,000×98%=¥980,000
この価額が売却する社債の価額である。
よって、仕訳は
(貸方)売買目的有価証券 980,000
D 小切手受け取り額
代金は端数利息とともに小切手にて受け取ったので、
売却価格¥990,000+端数利息¥5,000
=¥995,000
よって、仕訳は
(借方)現金 995,000
E 有価証券売却損益額の算出
売却価額¥990,000−売買目的有価証券¥980,000
=¥10,000
売却価額が¥10,000上回っているため、売却益が発生している。
よって、仕訳は
(貸方)有価証券売却益 10,000
これらの仕訳をまとめると、解答のとおりとなる。
売買目的有価証券に関する手数料の記帳
売買目的有価証券の手数料の処理は、下記のように行う。
購入時
購入価額に含めて処理する。
購入価額=
有価証券購入額+買入手数料
にて算出する。
売却時
売却価額から売却手数料を差し引いた額にて算出する。
売却額=
有価証券売却額−売却手数料
にて算出する。
例題を見ていこう。
例1:畑中物産株式会社は売買を目的として神宮株式会社の株式100株(@¥5,000)を購入し、代金は買入手数料¥20,000とともに小切手を振り出して支払った。
解答
(借方)売買目的有価証券 520,000
(貸方)当座預金 520,000
解説
売買目的有価証券の購入価額
購入価額¥500,000+買入手数料¥20,000
=¥520,000
例2:日和物産株式会社は売買を目的として大阪株式会社の株式100株(@¥5,000)を売却し、売却手数料¥20,000を差し引いた額を小切手にて受け取った。
なお、当該株式1株あたりの取得原価は ¥4,700である。
解答
(借方)現金 480,000
(貸方)売買目的有価証券 470,000
有価証券売却益 10,000
解説
売買目的有価証券の売却価額
¥5,000×100株
=¥500,000
有価証券の売却手数料
¥20,000
小切手受け取り額
売却価額¥500,000−売却手数料¥20,000
=¥480,000
この例題の場合、有価証券の売却価額である。
売却価額と取得価額の差額
売却価額¥480,000−取得価額¥470,000
=¥10,000
売却価額が取得価額を上回っているため、有価証券売却益にて処理する。
以上、日商簿記2級より加わる「売買目的有価証券」について取り上げました。
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