本日は、単純総合原価計算表(先入先出法)の作成について執筆していきます。
単純総合原価計算表(先入先出法)の作成
例題をもとに単純総合原価計算表を作成しよう。
例:小池工業株式会社は、単純総合原価計算を採用している。以下のデータより
① 完成品総合原価と月末仕掛品原価を算出しよう。
② 完成品1個当たりの単価を算出しよう。
③ 単純総合原価計算表を作成しよう。
※ 完成品総合原価・月末仕掛品原価は小数第一位を四捨五入、完成品単価は小数第二位を四捨五入すること。
資料
1 生産データ
月初仕掛品 100個(80%)
当月投入 900個
合計 1,000個
月末仕掛品 50個(50%)
完成品 950個
※ ( )内は加工進捗度を表す。
2 原価データ
A 月初仕掛品
・材料費 ¥100,000
・加工費 ¥200,000
B 当月製造原価
・材料費 ¥2,000,000
・加工費 ¥5,000,000
3 備考
・材料は製造着手後に全て投入している。
・原価の配分は先入先出法にて行う。
解答前の単純総合原価計算表
解答
①
完成品総合原価:¥7,132,071
材料費完成品原価¥1,988,889+加工費完成品原価¥5,143,182
=¥7,132,071
月末仕掛品総合原価:¥167,929
材料費月末仕掛品原価¥111,111+加工費月末仕掛品原価¥56,818
=¥167,929
②
完成品1個当たりの単価
¥7,507.4/個
完成品総合原価¥7,132,071 ÷完成品数量950個
=¥7,507.4
③ 単純総合原価計算表の解答
解説
イ 材料費の配分
問題の内容から読み取れることを下記に示す。
「材料は、製造着手後に全て投入している」。
→加工進捗度0%の時点で材料を投入すると言う意味である。
A 総投入原価(材料費)の算出
月初仕掛品¥100,000+当月投入原価¥2,000,000
=¥2,100,000
B 総投入数量の算出
月初仕掛品100個+当月投入数量900個
=1,000個
C 完成品材料費の金額算出
先入先出法のため、月初仕掛品は完成品として先に払い出す。
月初仕掛品の材料費¥100,000
材料投入個数100個
→完成品として計上
残りの完成品850個の材料費原価は、当月材料投入費用と当月材料投入量より算出する。
当月投入費用¥2,000,000×((完成品数量950個‐月初仕掛品数量100個)÷当月投入数量900個)
=¥1,888,889
よって、完成品の製造原価は
¥100,000+¥1,888,889=¥1,988,889となる。
D 月末仕掛品の材料費算出
同様に当月材料投入費用と当月材料投入数量より算出する。
当月投入費用¥2,000,000×(月末仕掛品50個÷当月投入数量900個)¥111,111
ロ 加工費の算出
月初・月末仕掛品の加工費は加工進捗度を考慮し、完成品換算数量を算出する。
完成品換算数量は、下記の式にて求められる。
仕掛品個数×加工進捗度
=完成品換算数量
月初・月末仕掛品の完成品換算数量
・月初仕掛品
仕掛品個数100個×加工進捗度80%
=完成品換算数量80個
・月末仕掛品
仕掛品個数50個×加工進捗度50%
=完成品換算数量10個
A 総投入原価(加工費)の算出
月初仕掛品¥200,000+当月投入原価¥5,000,000
=¥5,200,000
B 総投入数量(完成品換算数量)の算出
月初仕掛品数量80個+当月投入数量880個
=960個
当月投入数量の算出
完成品数量950個+月末仕掛品完成品換算数量10個−月初仕掛品 完成品換算数量80個=880個
C 完成品加工費の金額算出
・先入先出法のため、月初仕掛品は完成品として先に払い出す。
月初仕掛品の加工費¥200,000・完成品換算数量80個
→完成品として計上
残りの完成品870個の材料費原価は、当月材料投入費用と当月材料投入量より算出する。
※ 金額の小数第一位を四捨五入している。
当月投入費用¥5,000,000×((完成品数量950個‐月初仕掛品完成品換算数量80個)÷当月投入数量880個)
=¥4,943,182
よって、完成品総合原価は
¥200,000+¥4,943,182
=¥5,143,182となる。
D 月末仕掛品の加工費算出
同様に当月材料投入費用と当月材料投入数量より算出する。
※ 金額の小数第一位を四捨五入している。
当月投入費用¥5,000,000×(完成品換算数量10個÷当月投入数量960個)=¥56,818
これらをまとめたボックス図は下記の通りとなる。
以上、単純総合原価計算表の作成(先入先出法)について、取り上げました。
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