みなさん、こんばんは。
本日は、本社と工場で帳簿を分けた場合の処理について、執筆いたします。
工場会計の独立とは
工場会計の独立・・・工場の会計を本社より分けることをいう。
工場会計を独立させる目的は、下記のとおりである。
・企業の規模が大きくなる
・本社と工場が離れている
・工場の従業員に工場内のお金の流れを把握させる などがある。
工場会計の独立 仕組み

本社工場会計に関する仕訳
本社工場会計に関して、最初に会社全体での取引として見るとわかりやすい。
1 会社全体の取引とみなして、仕訳を見る。
例 工場は材料¥300,000を購入し、代金は本社が現金で支払った。
この場合、会社全体で見ると、材料を購入し、代金は現金で支払ったことになる。
(借方)材料 300,000
(貸方)現金 300,000
2 取引内容より、発生した理由を調べる。
前ページの仕訳より、
本社の現金が減った理由→工場が購入した材料の代金を支払ったから。
よって、本社の仕訳は、
(借方)工場 300,000
(貸方)現金 300,000
工場の材料が増えた理由→材料を購入し、代金を本社が支払ったから
よって、工場の仕訳は
(借方)材料 300,000
(貸方)工場 300,000
以上の項目よりわかるのは、
・本社勘定の借方金額=工場勘定の貸方金額
・本社勘定の貸方金額=工場勘定の借方金額
例題を見ていこう。
佐久平工業は、製品IBKを製造している。
なお、本社と工場で独立した会計をおこなっている。
よって、一連の仕訳を答えよ。
2/1 直接材料Aを2,000kg @¥200/kgを購入し、代金は掛けとした。 なお、代金の支払いは本社が行っている。
本社
(借方)工場 400,000
(貸方)買掛金 400,000
工場
(借方)材料 400,000
(貸方)本社 400,000
・会社全体の仕訳
(借方)材料 400,000
(貸方)買掛金 400,000
本社の買掛金発生→工場が材料を購入したことにより発生したため、相手勘定は工場となる。
工場の材料増加→材料を購入したためであるが、代金関係は本社で処理しているため、相手勘定は本社となる。
2/5 材料Aを2,000kg消費した。
なお、月初の材料A有高は500kg @¥195/kgである。
払出単価の算定は、先入先出法によること。
本社 仕訳なし
工場
(借方)仕掛品 397,500
(貸方)材料 397,500
・本社が間に入らないため、通常の材料消費の仕訳を行う。
先入先出法であるため、消費した材料2,000kgの内訳は、
・@¥195/kgの材料→500kg=¥97,500
・@¥200/kgの材料→1,500kg=¥300,000
合計は、¥397,500となる。
また、この材料は直接材料であるため、仕掛品での処理となる。
2/10 当月の賃金¥400,000を現金にて支払った。
なお、代金の支払いは本社が行っている。
本社
(借方)工場 400,000
(貸方)現金 400,000
工場
(借方)賃金 400,000
(貸方)本社 400,000
・会社全体の仕訳
(借方)賃金 400,000
(貸方)現金 400,000
本社の現金減少→工場の賃金を支払ったために減少したので、手勘定は工場となる。
工場の賃金発生→賃金の支払いは本社で行っているため、相手勘定は本社となる。
2/12 賃金¥300,000を製品製造のために消費した。
本社 仕訳なし
工場
(借方)仕掛品 300,000
(貸方)賃金 300,000
・本社が間に入らないため、通常の賃金消費の仕訳を行う。
2/17 間接材料Bを1,000個 @¥150/個を購入し、代金は掛けとした。
なお、代金の支払いは本社が行っている。
本社
(借方)工場 150,000
(貸方)買掛金 150,000
工場
(借方)材料 150,000
(貸方)本社 150,000
・会社全体の仕訳
(借方)材料 150,000
(貸方)買掛金 150,000
本社の買掛金発生→工場が材料を購入したことにより発生したため、 相手勘定は工場となる。
工場の材料増加→材料を購入したためであるが、代金関係は本社で処理しているため、相手勘定は本社となる。
2/23 材料Bを500個を消費した。
なお、月初の材料B有高は200個 @¥145/個である。
払出単価の算定は、先入先出法によること。
本社 仕訳なし
工場
(借方)製造間接費 74,000
(貸方)材料 74,000
・本社が間に入らないため、通常の材料消費の仕訳を行う。
先入先出法であるため、消費した材料500個の内訳は、
・@¥145/個の材料→200個=¥29,000
・@¥150/個の材料→300個=¥45,000
合計は、¥74,000となる。
また、この材料は間接材料であるため、製造間接費での処理となる。
2/27 当月計上した製造間接費のうち、製品IBKに対するものは
¥100,000であった。
本社 仕訳なし
工場
(借方)仕掛品 100,000
(貸方)製造間接費 100,000
2/28 製品が400個完成し、本社の倉庫へ送付した。
なお、製品に関する処理はすべて本社で行っている。
払出単価は先入先出法とする。
この製品に関するデータは以下の通りである。
・月初仕掛品数量/原価 100個/¥155,000
・当月投入数量 500個
本社
(借方)製品 578,500
(貸方)工場 578,500
工場
(借方)本社 578,500
(貸方)仕掛品 578,500
・会社全体の仕訳
(借方)製品 578,500
(貸方)買掛金 578,500
本社の製品増加→工場にて製造した製品が送付されたためであるので、相手勘定は工場となる。
工場の仕掛品減少→本社へ製品を送付したためなので、相手勘定は本社となる。
当月製品原価(製品500個分)
・2/5 直接材料→¥397,500
・2/12 賃金消費→¥300,000
・2/27 製造間接費該当分→¥100,000
合計 ¥797,500
製品原価の算出
月初仕掛品¥155,000+¥797,500×(300個÷500個)=¥578,500
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