みなさん、こんばんは。
本日は、標準原価計算について、説明していきます。
標準原価計算とは
標準原価計算・・・あらかじめ標準原価を定めておき、そのデータをもとに行う原価計算をいう。
※標準原価:目標となる原価
標準原価計算では、下記の「標準原価カード」が用いられることが多い。
標準原価計算を採用する目的・・・原価のムダを把握し、分析・改善するため。
これまでの個別原価計算・総合原価計算
→実際にかかった原価をそのまま集計するものである
(これを、実際原価計算という)
しかし、このような原価計算では、ムダな費用が発生するおそれがある。
ムダな費用の例として、材料を通常より多く使用する、高価な材料を使用する などがある。
このような事態を避けるために、あらかじめ目標原価を定め、実際にかかった原価と比較する。
→どの項目に費用が多くかかったのか、材料の使用量は適切かなどを知ることができ、原価の改善に役立てることができる。
標準原価計算の流れ
1 標準原価の設定
上記の「標準原価カード」が一例である。
2 標準原価の計算
「標準原価カード」をもとに製品の標準原価を算出する。
3 実際原価の計算
実際の製品原価を算出する。
4 原価差異の計算
実際原価と標準原価を比較し、どれだけ差異があるかを費目ごとに算出する。
5 原価差異の分析
原価差異が発生した要因を調べる。
3の項目については、次回より詳細を取り上げていく。
標準原価計算の元帳記入
元帳の記入方法は、シングル・プランとパーシャル・プランの2種類ある。
上記の主な違いは、仕掛品勘定の記入方法である。
シングル・プラン・・・ 仕掛品勘定をすべて標準原価で記帳する方法をいう。
原価差異は各原価項目ごとに把握する。
勘定連絡図を下記に示す。
※黄色塗りつぶし部:標準原価で記載
先程の元帳より、仕掛品勘定は標準原価のみを記載していることがわかる。 また、原価差異はそれぞれの原価ごとに算出していることがわかる。
パーシャル・プラン・・・仕掛品勘定を下記のように記帳する方法をいう。
当月製造原価・・・実際原価
完成品原価 ・・・標準原価
当月製造原価と完成品原価の差額を原価差異として計上する。
勘定連絡図を下記に示す。
黄色塗りつぶし部:標準原価で記載
青色塗りつぶし部:実際原価で記載
上記より、仕掛品勘定は下記のように記載している。
当月製造原価→実際原価
完成品原価 →標準原価
→標準原価と実際原価の差額を原価差異として計上している。
原価差異の種類
標準原価計算にて発生する原価差異は、次のとおりである。
A 直接材料費差異
差異の算出は下記のとおりある。
・材料消費価格差異
(材料費標準単価−材料費実際単価)×材料実際消費量
・材料消費数量差異
(材料標準消費数量−材料標準実際数量)×材料費標準単価
金額が・・・
プラス→貸方(有利)差異
マイナス→借方(不利)差異
標準材料費 シュラッター図
B 直接労務費差異
差異の算出は下記のとおりある。
・賃率差異
(標準賃率−実際賃率)×実際作業時間
・作業時間差異
(標準作業時間−実際作業時間)×標準賃率
金額が・・・
プラス→貸方(有利)差異
マイナス→借方(不利)差異
標準労務費 シュラッター図
C 製造間接費差異
製造間接費は、変動費と固定費に分けることができる。
・変動費→製造量に比例して増える費用をいう。
例として、材料費・労務費などがある。
・固定費→製造量に関係なく固定でかかる費用をいう。
例として、機械の減価償却費、事務員の給料などがある。
製造間接費 シュラッター図
・予算差異
(実際操業度×変動費率)+固定費予算−製造間接費実際発生額
・変動費能率差異
(標準操業度−実際操業度)×変動費率
・固定費能率差異
(標準操業度−実際操業度)×固定費率
・操業度差異
(実際操業度−基準操業度)×固定費率
金額が・・・
プラス→貸方(有利)差異
マイナス→借方(不利)差異
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