2級工業簿記 2.6.7 総合原価計算 等級別総合原価計算表(先入先出法)の作成

本日は、等級別総合原価計算表(先入先出法)の作成について、執筆していきます。

 

等級別総合原価計算(先入先出法)の作成

例題をもとに等級別総合原価計算表の作成を見ていこう。

例:小池工業株式会社は、等級別総合原価計算を採用している。

① 完成品総合原価を算出しよう。

② 月末仕掛品原価を算出しよう。

③ 等級別総合原価計算表を作成しよう。

資料

1 生産データ

月初仕掛品 100個(80%)
当月投入  900個
合計    1,000個
月末仕掛品  50個(50%)
完成品   950個
※ ( )内は加工進捗度を表す。

2 原価データ

A 月初仕掛品
・材料費 ¥100,000
・加工費 ¥200,000

B 当月製造原価
・材料費 ¥2,000,000
・加工費 ¥5,000,000

3 等級に関するデータ

4 備考

・材料は製造着手後に全て投入している。
・原価の配分は平均法にて行う。
・金額の¥未満は四捨五入(ただし、完成品単価は小数第二位未満四捨五入)

解答前の等級別総合計算表

解答

① 完成品総合原価:
  ¥7,132,071

材料費完成品原価¥1,988,889+加工費完成品原価¥5,143,182
=¥7,132,071 

② 月末仕掛品総合原価:
  ¥167,929

材料費月末仕掛品原価¥111,111+加工費月末仕掛品原価¥56,818
=¥167,929

③ 等級別総合計算表の作成

 

解説

イ 材料費の配分

問題の内容から読み取れることを下記に示す。

「材料は、製造着手後に全て投入している」。
→加工進捗度0%の時点で材料を投入すると言う意味である。

A 総投入原価(材料費)の算出

月初仕掛品¥100,000+当月投入原価¥2,000,000
=¥2,100,000

B 総投入数量の算出

月初仕掛品100個+当月投入数量900個
=1,000個

C 完成品材料費の金額算出

先入先出法のため、月初仕掛品は完成品として先に払い出す。

月初仕掛品の材料費¥100,000、材料投入個数100個
→完成品として計上

残りの完成品850個の材料費原価は、当月材料投入費用と当月材料投入量より算出する。

当月投入費用¥2,000,000×(完成品数量950個−月初仕掛品数量100個)÷当月投入数量900個
=¥1,888,889

よって、完成品の製造原価は
¥100,000+¥1,888,889
=¥1,988,889となる。

D 月末仕掛品の材料費算出

同様に当月材料投入費用と当月材料投入数量より算出する。

当月投入費用¥2,000,000×(月末仕掛品50個÷当月投入数量900個)
=¥111,111

ロ 加工費の算出

月初・月末仕掛品の加工費は加工進捗度を考慮し、完成品換算数量を算出する。

完成品換算数量は、下記の式にて求められる。
仕掛品個数×加工進捗度
=完成品換算数量

月初・月末仕掛品の完成品換算数量

・月初仕掛品
仕掛品個数100個×加工進捗度80%=完成品換算数量80個

・月末仕掛品
仕掛品個数50個×加工進捗度50%=完成品換算数量10個

A 総投入原価(加工費)の算出

月初仕掛品¥200,000+当月投入原価¥5,000,000
=¥5,200,000

B 総投入数量(完成品換算数量)の算出

月初仕掛品数量80個+当月投入数量880個
=960個

当月投入数量の算出
完成品数量950個+月末仕掛品完成品換算数量10個−月初仕掛品完成品換算数量80個
=880個

C 完成品加工費の金額算出

・先入先出法のため、月初仕掛品は完成品として先に払い出す。

月初仕掛品の加工費¥200,000、完成品換算数量80個
→完成品として計上

残りの完成品870個の材料費原価は、当月材料投入費用と当月材料投入量より算出する。

※ 金額の小数第一位を四捨五入している。

当月投入費用¥5,000,000×(完成品数量950個‐月初仕掛品完成品換算数量80個)÷当月投入数量880個=¥4,943,182

よって、完成品総合原価は
¥200,000+¥4,943,182
=¥5,143,182となる。

D 月末仕掛品の加工費算出

同様に当月材料投入費用と当月材料投入数量より算出する。

※ 金額の小数第一位を四捨五入している。

当月投入費用¥5,000,000×(完成品換算数量10個÷当月投入数量960個)
=¥56,818 

積数の算出

・1級品
等価係数1.0×完成品300個
=積数300

・2級品
等価係数1.5×完成品500個
=積数750

・3級品
等価係数2.0×完成品150個
=積数300

これらの積数の合計は1,350である。

 

完成品原価の算出

・1級品
完成品原価¥7,132,071×(積数300÷総積数1,350)
=¥1,584,905                

・2級品
完成品原価¥7,132,071×(積数750÷総積数1,350)
=¥3,962,261

※2級品の完成品総合原価は、端数調節のため例外で切り捨てている。

・3級品
完成品原価¥7,132,071×(積数300÷総積数1,350)
=¥1,584,905

以上、等級別総合原価計算(先入先出法)について取り上げました。                

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