みなさん、こんばんは。
本日は、工程別総合原価計算の説明・仕訳について執筆していきます。
工程別総合原価計算とは
工程別総合原価計算・・・1つの製品に対して2つ以上の工程がある場合に用いられる総合原価計算をいう。
上記の図のように、1つの製品に対して2工程以上を得て製造されるものに対して工程別総合原価計算は利用される。
工程別総合原価計算の用語
工程別総合原価計算特有の用語として、下記のものがある。
A 累加法
累加法・・・現在の工程から次の工程に製造品を受け渡す際、かかった原価を次の工程に累加(加える)方法をいう。
B 半製品
半製品・・・途中の工程で完了している製造品のうち、それだけで製品としての価値があるものをいう。
図とともに、累加法・半製品のイメージ図を下記に示す。
工程別総合原価計算(累加法)の手順
2つの工程(工程1・工程2)がある例にて、工程別総合原価計算の手順を下記に示す。
1 工程1の材料費、加工費を計算する。
2 工程1の総原価を前工程費として該当個数分、工程2の製造原価に載せる。
3 工程2の材料費、加工費を計算する。
工程別総合原価計算(累加法)の仕訳
工程別総合原価計算の取引の流れをもとに仕訳を見ていこう。
例:赤池工業株式会社は、製品Bを2つの工程(工程A・B)を得て製造している。
よって、以下の取引の仕訳を答えよ。
イ 工程1の材料費・加工費の当月投入原価計上の仕訳
ロ 工程1の完成品を工程2の前工程費に算入する仕訳
ハ 工程1の完成品を半製品とする際の仕訳
二 工程2の材料費・加工費の製造原価計上の仕訳
ホ 製品完成時の仕訳
原価データ
備考
1 工程2の材料費のうち、¥?は工程1の完成品(90個)を投入している。処理は累加法にて行う。
2 工程1の完成品のうち50個は半製品としての価値があり、外部へ売却することとした。
イ 工程1の材料費・加工費の当月投入原価計上の仕訳
(借方)第1工程製造 12,700,000
(貸方)材料費 4,900,000
加工費 7,800,000
原価データの材料費・加工費より算出する。
貸方勘定→材料費・加工費勘定より記載する。
借方勘定→工程1の製造に関する費用であるため、第1工程製造勘定を使用し、処理する。
ロ 工程1の完成品を工程2の前工程費に算入する仕訳
(借方)第2工程製造 5,850,00
(貸方)第1工程製造 5,850,000
第1工程完成品200個のうち、90個分を工程2の前工程費(材料費)として計上する。
工程1の完成品原価
材料費→月初仕掛品¥300,000+当月投入原価¥4,900,000-月末仕掛品¥200,000=¥5,000,000・・・1
加工費→月初仕掛品¥500,000+当月投入原価¥7,800,000-月末仕掛品¥300,000=¥8,000,000・・・2
完成品原価総額1+2→¥13,000,000
完成品単価→¥13,000,000÷200個=¥65,000/個
完成品単価¥65,000×90個=¥5,850,000
→前工程費となる。
ハ 工程1の完成品を半製品とする際の仕訳
(借方)第1工程半製品 3,250,000
(貸方)第1工程製造 3,250,000
第1工程完成品200個のうち、50個分を工程1の半製品として計上する。
完成品単価¥65,000×50個=¥3,250,000→半製品となる。
二 工程2の材料費(工程1の分を除く)・加工費の製造原価計上の仕訳
(借方)第2工程製造 5,850,000
(貸方)材料費 4,050,000
加工費 5,200,000
原価データの材料費・加工費より算出する。
貸方勘定→材料費・加工費勘定より記載する。
ただし、材料費¥9,900,000のうち、¥5,850,000は前工程費であるため、差し引いて処理する。
よって、材料費→¥9,900,000-¥5,850,000=¥4,050,000
借方勘定→工程2の製造に関する費用であるため、第2工程製造勘定を使用し、処理する。
ホ 製品完成時の仕訳
(借方)製品 14,700,000
(貸方)第2工程製造 14,700,000
工程1の完成品原価
材料費→月初仕掛品¥500,000+当月投入原価¥9,900,000-月末仕掛品¥700,000=¥9,700,000・・・1
加工費→月初仕掛品¥800,000+当月投入原価¥5,200,000-月末仕掛品¥300,000=¥5,700,000・・・2
完成品原価総額1+2→¥14,700,000
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