2級工業簿記 2.2 労務費

本日は、労務費について、執筆していきます。

 

労務費とは

労務費

従業員に対して支払われる費用をいう。
人件費とも呼ばれている。

 

労務費には、直接労務費と間接労務費がある。

直接労務費

ある製品を製造するために直接発生する労務費をいう。        

例として、直接工の賃金が挙げられる。

直接工

製造に直接関わる人のことをいいます。

 

間接労務費

全ての製品製造に対して共通で発生する労務費をいう。

間接労務費にあたるものは下記のものが挙げられる。

直接工の手待時間に対する賃金

手待時間

作業はしていないが、突発的な作業が発生する可能性に備えて待機している時間をいう。

〜の部分を手待時間とした場合の、
手待時間のイメージを下記に示す。

作業1開始ーーー作業1終了〜〜〜〜作業2開始ーーー作業2終了

この場合、作業1終了から作業2開始までの時間(〜の部分)が、手待時間となる。

 

間接工に対する賃金

間接工

倉庫作業員・設備保全作業員など、すべての製品製造に関わる人員をいいます。

 

事務員の給料 

事務員は、会社全体に関わる仕事をしているところがほとんどである。
つまり、すべての製品製造に対してかかると言える。
このことから、間接労務費に該当する。

などが当てはまる。

 

労務費計上に関する仕訳

労務費は、賃金勘定(費用の勘定)を使用し、処理する。

なお、原価計算期間と賃金の計算期間は異なるためにズレが生じるため、原価計算期間に対する賃金を算出する必要がある。

 

原価計算期間と給料計算期間の関係を示す。

原価計算期間
1日ーーーーーーーー月末

給料計算期間 
    21日ーーーーーーーー20日

このように、原価計算期間と給料計算期間の賃金にズレがあることがわかる。

これを踏まえ、仕訳を見ていこう。

 

例1 6月1日
前月の賃金未払分¥150,000を再振替する。

(借方)未払賃金 150,000

   (貸方)賃金 150,000

 

例2 6月30日 
当月の賃金¥500,000を従業員の所得税¥10,000と従業員負担分の健康保険料¥50,000を差し引き、小切手にて支払った。

(借方)賃金 500,000

   (貸方)所得税預り金 10,000

       健康保険料預り金
       50,000

       当座預金  440,000

 

例3 6月30日 
当月の賃金未払分¥100,000を計上する。

(借方)賃金 100,000

   (貸方)未払賃金 100,000

 

製造原価へ算入した場合

直接労務費

仕掛品勘定(資産の勘定)を使用し、処理する。 

間接労務費

製造間接費(費用の勘定)を使用し、処理する。

 

例:当月の賃金を製造原価へ振り替えた。

ただし・・・

A 当月の賃金総額を直接労務費70%、 間接労務費30%に振り分ける。

B 賃金の前月未払高は¥100,000、当月の賃金支払高¥450,000、当月の賃金未払高は¥ 80,000である。

(借方)仕掛品   301,000

    製造間接費 129,000

   (貸方) 賃金 430,000
 

当月の賃金=
(当月の賃金支払額+当月の賃金未払額)ー前月の賃金未払額

上記の式に当てはめると・・・

¥430,000=
¥450,000 +¥80,000 −¥100,000 

直接労務費=
¥430,000×70%=¥301,000
→仕掛品として計上
 
間接労務費=
¥430,000×30%=¥129,000
製造間接費として計上

 

予定賃率とは

予定賃率

過去の賃金実績を元に予想した賃率をいう。
一般的に前年度の賃金実績を元に予定賃率を定めることが多い。

また、作業時間をもとに賃金の計算をすることが多い。

 

1時間あたりの予定賃率は、下記の式にて出すことができる。

年間の賃金予定総額
ーーーーーーーーーー=予定賃率/時間
年間の予定総作業時間

 

予定賃率採用時の仕訳

賃金消費高の計算

例:当月の作業時間は下記のとおりであったため、賃金消費高を計上する。

・直接工 :700時間
・間接工 :250時間
・手待時間: 50時間
    
なお、予定賃率を採用しており、年間の予定作業時間は10,000時間、年間の賃金予定総額は¥10,000,000である。

 

予定賃率の計算

年間の賃金予定総額 ¥10,000,000
ーーーーーーーーーーーーーーーー
年間の予定作業時間 10,000時間

=¥1,000/時間 

直接工の賃金消費高

予定賃率¥1,000×700時間
=¥700,000

  

間接工の賃金消費高

予定賃率¥1,000×250時間
=¥250,000

 

手待時間の賃金消費高

予定賃率¥1,000× 50時間
=¥ 50,000

直接工の賃金消費高
→仕掛品勘定

間接工・手待時間の賃金消費高
→製造間接費勘定を使用する。

(借方)仕掛品  700,000

     製造間接費 300,000

   (貸方) 賃金  1,000,000

 

実際に賃金を支払ったとき

例:当月の賃金¥1,010,000を小切手にて支払った。

(借方)賃金 1,010,000

   (貸方)当座預金 1,010,000

 

予定賃金と実際賃金の差額計上

差額を計上する際は、賃率差異勘定を使用し、処理する。

賃率差異勘定が借方に来る場合

この状態を不利差異という。
(なお、予定賃率<実際賃率である)

賃率差異勘定が貸方にする場合

この状態を有利差異という。
(なお、予定賃率>実際賃率である)

 

例1:当月の予定賃金消費高¥1,000,000と実際賃金¥1,010,000の差額を計上する。

(借方)賃率差異 10,000

   (貸方)賃金 10,000

 

例2:当月の予定賃金消費高¥1,000,000と実際賃金¥990,000の差額を計上する。

(借方)賃金 10,000

   (貸方)賃率差異 10,000

 

以上、労務費について取り上げました。

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