2級工業簿記 2.4 製造間接費の予定配賦 

みなさん、こんばんは。

本日は、製造間接費の予定配賦について、執筆していきます。

 

製造間接費の予定配賦とは

予定配賦・・・あらかじめ予定価格を原価に参入すること。

製造間接費の予定配賦は、下記の方法がある。

 

A 年間の製造間接費予算を年間の総作業時間(基準操業度)で割って算出する方法。

製造間接費の予定配賦額の算出は下記のとおりである。年間の製造間接費予算÷年間の基準作業時間
=予定配賦額/時間

B 公式法変動予算を用いる方法

公式法変動予算・・・予算を変動費と固定費に分け、予算を算出する方法をいう。

変動費は操業度(作業時間)に応じて変動し、固定費は操業度(作業時間)に関係なく一定であるとみなして予算を算出する。

公式法変動予算の公式
変動費率×実際操業度+固定費率×実際操業度=製造間接費予算

上記の公式を利用して予算を算出するため公式法変動予算という。

予定配賦に関する仕訳(一般的な方法)

下記の一連の取引例をもとに仕訳を見ていこう
 
A 伊藤製作所株式会社は、6月分の製造間接費の予定配賦を行った。

なお、条件は下記のとおりである。

年間の製造間接費予算:¥24,000,000
年間の基準作業時間 :2,400時間
6月の基準作業時間:110時間

この場合、製造間接費を仕掛品勘定へ予定配賦する。

(借方)仕掛品 1,100,000

  (貸方)製造間接費 1,100,000

 

1時間あたりの製造間接費予定配賦額

¥24,000,000÷2,400時間=¥10,000/時間

 

6月の製造間接費予定配賦額

¥10,000×110時間(6月の基準作業時間)=¥1,100,000

 

B 伊藤製作所株式会社の6月分製造間接費の総額は¥1,105,000であった。 予定価格と実際価格の差額を適切な方法にて処理する。

・予定価格<実際価格・・・製造間接費配賦差異を借方に記載し処理する。この場合、借方差異(不利差異)となる。

・予定価格>実際価格・・・製造間接費配賦差異を貸方に記載し処理する。この場合、貸方差異(有利差異)となる。

Bの取引の場合、仕訳は下記の通りとなる。

(借方)製造間接費配賦差異 5,000

  (貸方)製造間接費 5,000

この場合は借方差異(不利差異)の状態である。

 

C 計上した配賦差異を製造原価へ付加する。

Bで計上した差異が借方差異(不利差異)のため、下記の仕訳となる。

(借方)仕掛品 5,000

  (貸方)製造間接費配賦差異 5,000

仮に貸方差異(有利差異)の場合は下記の仕訳となる。

(借方)製造間接費配賦差異 5,000

  (貸方)仕掛品 5,000

 

予定配賦に関する仕訳(公式法変動予算を用いる方法)

下記の一連の取引例をもとに仕訳を見ていこう

例1 伊黒製作所株式会社は、6月分の製造間接費の予定配賦を公式法変動予算にて行った。
なお、条件は下記のとおりである。

6月の製造間接費予算:¥2,000,000
(うち変動費:¥1,500,000)
6月の基準操業度:200時間
6月の実際操業度:205時間

仕訳

(借方)仕掛品 2,050,000

  (貸方)製造間接費 2,050,000 

 

・1時間あたりの変動費率

¥1,500,000÷200時間=¥7,500/時間

 

・6月の変動製造間接費予定配賦額

¥7,500×205時間=¥1,537,500 

 

・6月の固定費

¥2,000,000-¥1,500,000 =¥500,000

 

・6月の固定製造間接費予定配賦額

¥2,500×205時間=¥512,500 

 

・6月の製造間接費予定配賦額

変動費¥1,537,500+固定費¥512,500=¥2,050,000

 

例2 伊藤製作所株式会社の6月分の製造間接費の実際発生額は¥2,010,000であった。以下の問いに答えなさい。

① 予定価格と実際価格の差額を適切な方法にて処理する。

② 予算差異と操業度差異を算出する。(有利・不利差異も答える) 

 

① 仕訳

(借方)製造間接費配賦差異 50,000

  (貸方)製造間接費 50,000

 

・予算差異と操業度差異について

A 予算差異

予算差異・・・製造間接費の予算許容額と実際発生額の差異をいう。

・予定許容額<実際発生額の場合・・・不利差異となる
 →製造間接費を浪費しているという意味である。

・予定許容額>実際発生額の場合・・・有利差異となる
 →製造間接費を節約したという意味である。

 

B 操業度差異

操業度差異・・・実際作業時間(実際操業度)と基準作業時間(基準操業度)の差異をいう。

・基準操業度>実際操業度の場合・・・借方差異(不利差異)となる
→製造間接費を余分に配賦していることになる。

・基準操業度<実際操業度の場合・・・貸方差異(有利差異)となる
→製造間接費の配賦額が不足していることになる。

予算差異と操業度差異の関係

シュラッダー図より

予算差異・・・

実際変動製造間接費+固定製造間接費予定額-製造間接費実際発生額=予算差異

¥7,500×基準操業度205時間+固定製造間接費予定額¥500,000 -製造間接費実際発生額¥2,100,000
=¥1,537,500+500,000-¥2,100,000=¥ー62,500

よって、¥62,500(不利差異)

 

操業度差異・・・

固定比率×(実際操業度-基準操業度)=操業度差異
¥2,500×(205-200)=12,500

よって、¥12,500(有利差異) 

 

製造間接費配賦差異・・・

予算差異+操業度差異=製造間接費配賦差異
¥-62,500+12,500=-50,000

よって、¥50,000(不利差異)

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