2級商業簿記 2.4.7 期中取引 固定資産 買い替え・滅失

みなさん、こんばんは

本日は、固定資産の買い替え・滅失について、執筆していきます。

 

買い替え・滅失とは

買い換え・・・現在保有している固定資産を新しい固定資産に買い換えること。

滅失・・・突発的な理由で物等がなくなること。
固定資産の滅失→自然災害など突発的な理由で固定資産がなくなることをいう。

 

買い替えに関する仕訳

減価償却費の記帳方法が間接法の場合

例:水戸物産株式会社(決算日:3月31日)○4年6月1日に、営業用の車両¥1,000,000を買い替えのため購入し、代金のうち  ¥100,000は旧車両の売却金を充当し、残額は約束手形を振り出して支払った。
なお、買い換え前の車両に関するデータは下記のとおりである。

・取得価格:¥800,000
・残存価格:ゼロ
・予定総走行距離:100,000km
・現在までの走行距離:90,000km
(うち、当期首までの走行距離:88,000km)
・購入日:○1年4月1日
・記帳方法:間接法
・償却方法:生産高比例法

 

解答

(借方)車両 1,000,000

    減価償却費 16,000

  (貸方)車両 96,000

      営業外支払手形 900,000

      固定資産売却益 20,000

 

解説

・買い替え前車両1kmあたりの減価償却費

¥800,000÷100,000km=¥8/km

 

・取得から前期末までの減価償却累計額

¥8×88,000km=¥704,000
→車両減価償却累計額勘定で処理

 

・当期首から買い替えまでの減価償却費

¥8×2,000km=¥16,000
→減価償却費勘定で計上
(当期の減価償却費は計上していないため、計上)

 

・現時点の旧車両の価格

¥800,000-(¥704,000+¥16,000)=¥80,000
旧型車両の売却額は¥100,000であるため、差額の¥20,000は固定資産売却益勘定にて処理する。

 

減価償却費の記帳方法が直接法の場合。

例:友部物産株式会社(決算日:3月31日)○4年6月1日に、営業用の車両¥1,000,000を買い替えのため購入し、代金のうち¥100,000は旧車両の売却金を充当し、残額は約束手形を振り出して支払った。
なお、買い換え前の車両に関するデータは下記のとおりである。

解答

(借方)車両 1,000,000

    減価償却費 16,000

  (貸方)車両 96,000

      営業外支払手形 900,000

      固定資産売却益 20,000

 

解説

・買い替え前車両1kmあたりの減価償却費

¥800,000÷100,000km=¥8/km 

 

・現時点の減価償却完了額

¥8×88,000km=¥704,000

 

・当期首の備品の価格

¥800,000-¥704,000=¥96,000

 

・当期首から買い替えまでの減価償却費

¥8×2,000km=¥16,000
→減価償却費勘定で計上
(当期の減価償却費は計上していないため、計上)

 

・現時点の旧車両の価格

¥96,000-¥16,000=¥80,000
旧型車両の売却額は¥100,000であるため、差額の¥20,000は固定資産売却益勘定にて処理する。

 

滅失に関する仕訳

通常の滅失の場合

例1:石岡工業株式会社(決算日:3月31日)は、○2年7月1日に火災により備品が使用不可となった。なお、この備品のデータは下記のとおりである。

・取得日:○0年4月1日
・取得原価:¥120,000
・残存価格:ゼロ
・耐用年数:6年
・減価償却費の記帳方法:間接法
・減価償却費の計算法:定額法

 

解答

(借方)減価償却累計額 40,000

    減価償却費 5,000

    災害損失 75,000

  (貸方)備品 120,000

 

解説

必要なデータは次のとおりである。

1 減価償却累計額と減価償却費の算出。

・減価償却累計額の算出

取得日〜前年度の決算日までの期間分が該当する。

例題の場合、2年(24ヶ月)分であるため、
(取得原価¥120,000−残存価格¥0)×該当月数24ヶ月÷耐用月数72ヶ月=¥40,000

 

・減価償却費の算出

(取得原価¥120,000−残存価格¥0)×該当月数3ヶ月÷耐用月数72ヶ月=¥5 ,000
→上記の内容を仕訳にすると下記のとおりとなる。

(借方)減価償却累計額 40,000

    減価償却費 5,000

 

2 使用不可となった備品の取得原価の記帳

備品の取得原価は¥120,000であるため、これを仕訳にすると下記の通りである。

  (貸方)備品 120,000

 

3 借方と貸方差額の計上  

備品¥120,000−(減価償却累計額¥40,000+減価償却費
¥5,000)=¥75,000

上記金額は備品の現時点の価値である。

この価値の備品が火災による災害で滅失した。
→よって、借方に災害損失勘定(費用の勘定)を使用し、処理する。

(借方)災害損失 75,000

なお、滅失に備えて保険に加入することが多い。

 

保険に加入していた場合

例1:石岡工業株式会社(決算日:3月31日)は、○2年7月1日に火災により備品が使用不可となった。なお、¥50,000を限度額とする保険契約を結んでいる。
この備品のデータは下記のとおりである。

・取得日:○0年4月1日
・取得原価:¥120,000
・残存価格:ゼロ
・耐用年数:6年
・減価償却費の記帳方法:間接法
・減価償却費の計算法:定額法

 

解答

(借方)減価償却累計額 40,000

    減価償却費 5,000

    未決算 50,000

    災害損失 25,000

  (貸方)備品 120,000

 

解説

1 減価償却累計額と減価償却費の算出。

・減価償却累計額の算出

取得日〜前年度の決算日までの期間分が該当する。

例題の場合、2年(24ヶ月)分であるため、
(取得原価¥120,000−残存価格¥0)×該当月数24ヶ月÷耐用月数72ヶ月=¥40,000

 

・減価償却費の算出

(取得原価¥120,000−残存価格¥0)×該当月数3ヶ月÷耐用月数72ヶ月=¥5 ,000
→上記の内容を仕訳にすると下記のとおりとなる。

(借方)減価償却累計額 40,000

    減価償却費 5,000

 

2 使用不可となった備品の取得原価の記帳

備品の取得原価は¥120,000であるため、これを仕訳にすると下記の通りである。

   (貸方)備品 120,000

3 借方と貸方差額の計上  

備品¥120,000−(減価償却累計額¥40,000+減価償却費    ¥5,000)=¥75,000

上記金額は備品の現時点の価値である。

この価値の備品が火災による災害で滅失した。
→備品には¥50,000を限度額とする保険契約を結んでいる。

しかし、実際の保険金支払額は確定していない。
この場合、未決算勘定を使用し、処理する。

  (借方)未決算 50,000

 

4 備品価値と保険金上限の差額処理

保険金は上限¥50,000であるため、火災発生時の備品価値¥75,000−保険金上限¥50,000=¥25,000は損失として計上する。

  (借方)災害損失 25,000

 

例2 例1の火災に対する保険金支払額は¥45,000である旨の連絡を受け、10日後に当座預金口座ヘ振り込まれる旨の連絡を受けた。

解答

(借方)未収金 45,000

    災害損失 5,000

  (貸方)未決算 50,000

 

解説

未決算勘定の振り替え

未決算勘定の金額¥50,000の処理方法
保険金確定額¥45,000→支払いが確定しただけであるため、未収金勘定にて処理する。

差額¥5,000→損失として計上する。

記事カテゴリー
2級商業簿記 
bokikouzaをフォローする
簿記講座.com

コメント

タイトルとURLをコピーしました