本日は、無形固定資産のうち、企業買収(吸収合併)とソフトウェア取得時の処理について、執筆していきます。
企業買収とは
買収
企業が1社以上の別企業を対価を支払い、買い取ることをいう。M&Aとも呼ばれている。
ここでは、事例が多い吸収合併について執筆していく。
吸収合併
ある企業が1社以上の企業を買収し、買収先企業の1つとなる合併をいう。
吸収合併後は、企業は2社以上から1社になる。
吸収合併時の仕訳
例題をもとに仕訳手順と仕訳例を見ていこう。
例 関本物産株式会社は、関南商会を吸収合併し、合併による対価¥10,000,000は小切手を振り出して支払うこととした。
なお、合併時点の関南商会の諸資産は¥18,000,000、諸負債¥9,000,000である。
解答
(借方)諸資産 18,000,000
のれん 1,000,000
(貸方)諸負債 9,000,000
当座預金 10,000,000
解説と仕訳手順
1 合併後は相手先企業の資産・負債をすべて引き継ぐため、仕訳の記載は下記のとおり行う。
借方
資産に属する勘定科目と金額
貸方
負債に属する勘定科目と金額
例題の場合、資産と負債に属する勘定はそれぞれ諸資産・諸負債であるため仕訳は下記のように記載する。
(借方)諸資産 18,000,000
(貸方)諸負債 9,000,000
2 取得対価¥10,000,000を当座預金にて支払っているので、仕訳の記載は下記のとおり行う。
(貸方)当座預金 10,000,000
3 合併対価と企業価値の差額をのれん勘定を使用し、処理する。
企業価値とは、相手先企業の純資産額をいう。
よって、純資産額を算出する。
純資産額の算出
諸資産¥18,000,000−諸負債¥9,000,000
=純資産¥9,000,000
つまり、被買収企業の企業価値(純資産額)は¥9,000,000である。
取得対価は¥10,000,000であり、純資産額を¥1,000,000上回っている。
この¥1,000,000は相手先企業のノウハウ・ブランドなどを取得するための対価と考えることができる。
対価を表す勘定科目
=のれんとなる
そのため、のれん勘定(資産の勘定)を使用し、下記の仕訳を行う。
(借方)のれん 1,000,000
1~3の仕訳をまとめると下記のようになる。
(借方)諸資産 18,000,000
のれん 1,000,000
(貸方)諸負債 9,000,000
当座預金 10,000,000
ソフトウェアとは
ソフトウェア
目的の動作を行うよう設計されたプログラムをいう。
プログラムは、物として見えないため無形固定資産に分類される。
ソフトウェアの例として、給料計算ソフトや勤怠管理ソフトなどがある。
ここでは、自社で利用するソフトウェアについて取り上げる。
自社にてソフトウェアを導入する目的
作業時間短縮など業務効率化を目的として導入する。
ソフトウェアの特徴
ソフトウェア取得時の仕訳
自社で利用するソフトウェアを取得した際は、ソフトウェア勘定を使用し、記帳する。
例 稲垣物産株式会社は、業務効率化のため給料計算ソフト¥300,000を導入し、代金は45日後に支払うこととなった。また、導入に要する費用¥20,000は現金で支払った。
解答
(借方)ソフトウェア 320,000
(貸方)未払金 300,000
現金 20,000
解説
A ソフトウェアの金額
給料計算ソフト¥300,000+導入に要する費用¥20,000
=¥320,000
※ソフトウェア導入の際に発生する付随費用は、ソフトウェアの金額に含めて処理する。
B 未払金の額
給料計算ソフトウェアの金額
¥300,000
C 現金支払額
導入に要する費用
¥20,000
以上、無形固定資産のうち、のれんとソフトウェアの処理について取り上げました。
コメント