3級商業簿記 2.11 期中取引 その他の債権・債務

本日は、その他の債権・債務に関する取引について執筆していきます。

 

その他の債権・債務

その他の債権・債務の項目では、下記の債権・債務を取り上げる。
・貸付金と借入金
・仮払金と仮受金
・前払金と前受金
・未収金と未払金
・立替金と預り金

 

貸付金と借入金

貸付金・・・借用書などを取り交わす貸付金を言う。

借入金・・・借用書などを取り交わす借入金を言う。

 

仮払金と仮受金

仮払金・・・前もって支払ったお金を言う。
例:出張時の交通費の概算額や一時的な支払い など 

仮受金・・・一時的に受け取ったお金を言う。
例:入金理由が不明な取引 など

 

前払金と前受金

前払金・・・商品などの代金を前もって支払う金銭を指す(買い手側に発生)

前受金・・・商品などの代金を前もって受けとる金銭を指す。(売り手側に発生)

 

未収金と未払金

未収金・・・営業外の取引で発生した代金のうち、まだ受け取っていないものを言う。
例:固定資産の売却金 など
 
未払金・・・営業外の取引で発生した代金のうち、まだ支払っていないものを言う。
例:固定資産の購入金 など

 

立替金と預り金

立替金・・・取引先や従業員などが負担すべき金銭を、一時的に支払ったときに発生するもの。

預り金・・・取引先や従業員などが負担すべき金銭を、一時的に預かったときに発生するもの。

 

その他の債権・債務に関する仕訳

貸付金と借入金が発生した場合

貸主:貸付金(資産の勘定)
借主:借入金(負債の勘定)を利用し処理する。

例1 我妻商店は瀬戸商店より現金¥300,000を借り受け、借用書を取り交わした。

仕訳を貸主、借主の立場から見ると、下記の通りとなる。

我妻商店(借主側)

(借方)現金 300,000

   (資産の増加)

   (貸方)借入金 300,000

      (負債の増加)

 

瀬戸商店(貸主側)

(借方)貸付金 300,000

   (資産の増加)

   (貸方)現金 300,000

      (資産の減少)

 

例2 例1の借入金¥300,000を現金にて返済した。

我妻商店(借主側)

(借方) 借入金 300,000

    (負債の減少)

   (貸方) 現金 300,000

       (資産の減少)

 

瀬戸商店(貸主側)

(借方) 現金 300,000

    (資産の増加)

   (貸方) 貸付金 300,000

      (資産の減少)
 

仮払金・仮受金が発生した場合

仮払金発生:仮払金勘定(資産の勘定)を使用し、処理する。
また、金額等が確定した場合は、適切な勘定に振り替える。

仮受金発生:仮受金勘定(負債の勘定)を使用し、処理する。
また、金額等が確定した場合は、適切な勘定に振り替える。

 

仮払金に関する取引

例1 従業員Aが東京へ出張へいくため、旅費交通費の概算額¥50,000を従業員Aへ支給した。

(借方)仮払金 50,000

   (資産の増加)

   (貸方) 現金 50,000

      (資産の減少)

 

例2 例1の旅費交通費の使用額は、¥48,000との報告を従業員より受け、残額¥2,000は従業員Aより現金で返還された。

(借方)旅費交通費 48,000

   (費用の発生)

    現金   2,000

   (資産の減少)

   (貸方)仮払金 50,000

       (資産の増加)

 

仮受金に関する取引

例1 当座預金口座を確認したところ、帳簿残高より¥20,000多いことが判明した。なお、入金理由は不明である.

(借方) 当座預金 20,000

   (資産の増加)

   (貸方) 仮受金 20,000

      (負債の増加)

例2 例1の入金理由を調査したところ、貸付金に対する利息であることが判明した。

(借方) 仮受金 20,000

   (負債の減少)

   (貸方)受取利息 20,000

      (収益の発生)

 

前払金・前受金が発生した場合

支払側:前払金勘定(資産の勘定)

受取側:前受金勘定(負債の勘定) を使用し、処理する。

仕訳例を、支払側と受取側の立場から見ていこう。
 
例1 伊瀬商店は、30日後に芳賀商店より商品Aを¥50,000を仕入れる契約を行い、内金として¥20,000を現金で支払った。

伊瀬商店(支払側)

(借方)前払金 20,000

   (資産の増加)

   (貸方) 現金 20,000

      (資産の減少)

 

芳賀商店(受取側)

(借方) 現金 20,000

   (資産の増加)

   (貸方) 前受金 20,000

      (負債の増加) 

 

例2 伊瀬商店は芳賀商店より商品Aを受け取り、内金を差し引いた残額は掛けとした。

伊瀬商店(支払側)

(借方)仕入 50,000

   (費用の発生)

   (貸方)前払金 20,000

      (資産の減少)

       買掛金 30,000

      (負債の増加)

 

芳賀商店(受取側)

(借方)前受金 20,000

   (負債の減少)

    売掛金 30,000

   (資産の増加)

   (貸方)売上 50,000

      (収益の発生)

 

未収金・未払金が発生した場合

受取側:未収金勘定(資産の勘定)

支払側:未払金勘定(負債の勘定) を使用し、処理する。

仕訳例を、受取側と支払側の立場から見ていこう。

例1 伊瀬商店は、芳賀商店へ土地¥500,000を売却し、代金は10日後に現金で受けとることとなった。

 

伊瀬商店(受取側)

(借方)未収金 500,000

   (資産の増加)

   (貸方)土地 500,000

      (資産の減少)

 

芳賀商店(支払側)

(借方)土地 500,000

   (資産の増加)

  (貸方)未払金 500,000

     (負債の増加)

 

例2 例1の土地代金を現金で受け取った。

伊瀬商店(受取側)

(借方)現金 500,000

   (資産の増加)

  (貸方)未収金 500,000

     (資産の減少)

 

芳賀商店(支払側)

(借方)未払金 500,000

   (負債の減少)

   (貸方)現金 500,000

      (資産の減少)

 

立替金・預り金が発生した場合

立替金発生:立替金勘定(資産の勘定)

預り金発生:預り金勘定(負債の勘定) を使用し、処理する。

なお、預り金勘定は勘定科目で唯一ひらがなが入る。
→当座預金などの預金(よきん)と区別するため。
 
仕訳例を見ていこう。

 

例1 従業員負担分の健康保険料¥20,000を現金にて立替払いした。

(借方)立替金 20,000

   (資産の増加)

   (貸方)現金 20,000

      (資産の減少)

 
 
例2 給料¥200,000のうち、立替払いしている従業員負担分の健康保険料¥20,000と所得税預り額¥5,000を差し引き、残額は現金で支払った。

(借方)給料 200,000

   (費用の発生)

   (貸方)現金 175,000

      (資産の減少)

       立替金 20,000

      (資産の減少)

       預り金 5,000

      (負債の増加)

 

例3 従業員から預かった所得税¥50,000を税務署へ現金で納めた。

(借方)預り金 50,000

   (負債の減少)

   (貸方)現金 50,000

      (資産の減少)

 

以上、その他の債権・債務について取り上げました。

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