3級商業簿記 4.1.1 株式会社の取引 株式会社の設立・開業・増資

本日は、株式会社の設立・開業・増資について、執筆していきます。

 

株式会社とは

株式会社

出資者(株主)より資金を募り、その資金をもとに経営者によって経営される企業をいう。

 

個人企業と株式会社の違い

個人企業

事業主自身の資金を元入れし、開業する。
この場合、事業主=出資者である。

 

株式会社

出資者(株主)より資金を募り、設立する。
この場合、事業主≠出資者である。  

 

株式会社の設立

株式会社の設立は、下記のように行われる。

A 発起人が定款を作成する。

発起人:会社設立の手続きを行う人。

定款:会社の目的・商号などの基本的事項を記載した文書

 

B 定款に基づき株式を発行し、出資者より資金を調達する。

株式の発行に際し、株券を発行することができる。

ただし、株券を発行することを定款に定める必要がある。

株式:株式会社の株主であることを示す証書

出資者:株主

 

C 会社設立。

その後、開業準備をし、完了したところで事業開始となる。

 

コラム 「社員」という言葉について

会社内では、一般的に従業員のことを「社員」と呼ぶことが多いが、 株式会社の場合は、株主のことを「社員」という。

 

株式会社設立のイメージ

 

株式会社設立・開業時の仕訳

株式会社の設立と開業の違い

設立と開業の違いは、期間のタイミングである。

設立

株式会社の設立準備から設立完了までの期間

 

開業

設立完了から事業開始までの期間

 

A 会社設立時の資本金

原則

全額資本金として計上する。

 

例外

・払込金の1/2以上を資本金とすればよい。
(会社法に基づく)

・資本金とならなかった部分については、資本準備金勘定(純資産の勘定)にて処理する。

 

B 会社設立・開業時の費用

会社設立までの費用

創立費(費用の勘定)にて処理する。

 

会社設立から開業までの費用

開業費(費用の勘定)にて処理する。

なお、創立費・開業費は繰延資産として計上することができる。
その場合は、資産の勘定となる。

 

例1 水戸産業株式会社は、会社設立にあたり株式5,000株を1株¥1,000にて発行し、全額の引き受け・払い込みを受け、払込金は全額当座預金とした。

(借方)当座預金 5,000,000

(貸方)資本金 5,000,000

払込金¥5,000,000=
1株¥1,000×5,000株

 

例2 土浦産業株式会社は、会社設立にあたり株式5,000株を1株¥1,000にて発行し、全額の引き受け・払い込みを受け、払込金は全額当座預金とした。ただし、払込金の1/2は資本金としないこととした。

(借方) 当座預金 5,000,000

(貸方) 資本金   2,500,000

資本準備金 2,500,000

払込金¥5,000,000=
1株¥1,000×5,000株

資本準備金¥2,500,000=
払込金¥5,000,000×1/2

 

例3 ひたちなか商事株式会社は、定款作成に要した費用  ¥100,000を現金で支払った。ただし、費用として計上する。

(借方)創立費 100,000

(貸方)現金 100,000

 

例4  潮来精機株式会社は、開業に要した費用¥300,000を現金で支払った。ただし、費用として計上する。

(借方)開業費 300,000

(貸方)現金 300,000

 

株式増資時の仕訳

株式の増資時も、創立時の株式発行と仕訳は同じである。

ただし、株式発行時にかかる諸費用は株式交付費(費用の勘定)にて処理する。

なお、株式交付費は繰延資産として計上することができる。
その場合は、資産の勘定となる。

 

例1 水戸産業株式会社は、増資のため株式5,000株を1株¥1,000にて発行し、全額の引き受け・払い込みを受け、払込金は全額当座預金とした。なお、株式発行に要した費用¥100,000は現金で支払った。

(借方)当座預金   5,000,000

株式交付費  100,000

(貸方)資本金 5,000,000

現金   100,000

払込金¥5,000,000=
1株¥¥1,000×5,000株

 

例2 土浦産業株式会社は、増資のため株式5,000株を1株¥1,000にて発行し、全額の引き受け・払い込みを受け、払込金は全額当座預金とした。ただし、払込金の1/2は資本金としないこととした。

(借方) 当座預金 5,000,000

(貸方) 資本金   2,500,000

資本準備金 2,500,000

払込金¥5,000,000=
1株¥1,000×5,000株

資本準備金¥2,500,000=
払込金¥5,000,000×1/2

以上、株式会社の設立・開業・増資について、執筆していたしました。

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